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見たいもの

【☆★おしらせ★☆】




あとがきにとても大切なお知らせが書いてあります。




最後まで読んでくださると嬉しいです。


 続いて向かうことになったのは、獣人達が住まう集落である通称恵みの里。


 ここは事前に申告されていた通りの畑があり、その総面積は人間達に与えられている畑よりもよりも広い。


 だが報告の通りであればここには二年以上前から住んでいるはずだ。

 魔物を使って開墾ができるのであればもっと領土を拡張できるはずだが……。


「基本的に獣人では男性が狩りを行い、女性や子供、老人などが畑を見るという分業体制ができあがっていました。現在では男性の多くは戦士として働き、中でも戦いが不得手なものや純粋に農耕に興味がある者だけが農耕をするという形を取っています。彼らからすれば農耕とは外貨の獲得手段ではなく日々を生きるための食料生産でしかありません。なので開墾の規模は敢えて控えめにしています」


「できるのであれば、更に領土を拡張すべきではないでしょうか?」


 フレイム伯爵領から移民達の暮らす領域までのダート大森林を完全に開き街道を整備してしまえば、流通は更に増やすことができる。


 そしてこの恵みの里の農地も、魔物の力を利用すればこの二倍三倍と増やしていくことができる。

 開墾をした分だけ自分のものにできるというのに、欲がなさ過ぎる。


 本来の見せるようの畑とは別に隠し畑でもあるのでは……と思っていたバルクハイムはヴァルの言葉に目を見開いた。


「たしかにそうした方が稼得は増えるかもしれません。でもそうしたら国は、彼らからもっと税金を取るでしょう? それに……私は獣人の皆が持つ文化を破壊するつもりはないのです。彼らは森と共に生き、狩りを尊び、のびのびと暮らしています。金になるから畑を増やしてあくせく暮らせとは、軽々しく言いたくありませんね」


 たしかに金よりも大切なことはある。

 こういった仕事をしているからこそ、バルクハイムはそれを肌で感じていた。


 文化の保全、それに伴う環境の維持。

 人間達は戦争で亜人や魔人に勝利したことで、自分達の文化が最も崇高にして絶対のものだと考えてしまうことが多い。

 だが目の前の英雄にその傲慢さはない。


 彼は獣人や魔人を相手にしても、それだけ他者を慮ることができるのだ。

 これは少なくとも他の王国貴族の誰にもできないことだろう。


 これが職務であるとはいえ、バルクハイムは金の話をしてばかりいる自分が少しだけ恥ずかしくなった。


「それに自分達の身を守ってくれないのであれば、彼らに義務を強制するつもりはありませんよ」


「守ってくれない、とは……?」


「既に二度、王国から奴隷狩りが来ています。更には獣人と魔人を謀るべく入ってきた諜報員の奴らもです。死ぬような思いはさせていますが、ほとんどは生かしていますよ。もしよければ見ていきますか?」


「――っ!? なんと……本当ですか!?」


 そもそもこのダート大森林は既に王国の男爵領として国から正式に認められている場所だ。


 そこに暮らす領民は当然ながら王国民であり、王国は戦時捕虜と借財奴隷を除き自国民を奴隷にすることを基本的に禁止している。

 奴隷狩りは行為それ自体が違法なのだ。


 諜報の類いがあるのはある種当然のことではあるが、それを生かしたまま捉えているというのも驚きだ。


 バルクハイムは彼にまつわる噂話は誇張でも何でもなく、むしろ事実より過小評価だとすら感じていた。

 ヴァル・フォン・フレイムは間違いなく本物の英雄だ。

 そんな相手にそのような馬鹿なことをするのは、おそらく……内憂派だろう。


「私は我が領に敵対的行為をした貴族を決して許しません。間諜の中には貴族家の腹違いの子や子飼いの配下達もおりました。物証も取れています。ですので陛下には……ぜひ獣人と魔人を王国民として認める旨を、正式に公布していただきたく」


「……かしこまりました」


「それに伴いもし獣人や魔人の奴隷がいた場合は、我が領にて買い取ります。相場に若干色をつけても構いません」


 亜人と魔人を王国民として認めると言うことは、故なく奴隷に落とされている者達の身分を解放するということでもある。


 敵対的な貴族達の多くは反発することだろう。

 だが今後のことを考えて、バルクハイムはそれを断じてやらねばならぬと感じていた。


 先ほどダート大森林へ入る際に見た、獣人達の精強さ。


 そして内憂派へ怒りを露わにするヴァル。

 これ以上彼らの不況を買い、龍の逆鱗に触れるわけにはいかない。

 そう強く感じたからだ。


 これだけの開拓能力と屈強な兵士、そしてテイムした魔物達がいれば、彼にとって王国からの独立は容易だろう。


 フレイム伯爵家という繋がりがあろうが、ヴァルは実際にそれができる男だと、バルクハイムは彼を見て確信していた。

 都合の良いものしか見ようとしないやつらはそのようなことを考えもしていない。


「陛下が派手に動けぬことは重々承知の上です、ご配慮ありがとうございます」


 ヴァルはそれ以上は何も言わなかった。

 だがバルクハイムは彼がこのまま済ませるはずがないと思っていた。

 間違いなく、彼は何かしらのアクションを起こすだろう。


 だがそれに関しては知らぬ存ぜぬを通すことにしよう。

 そう硬く心に誓うバルクハイムであった……。

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