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別次元の領域(2021年版)  作者: 草茅危言
【資料】本作の世界観とその設定の解説
118/120

#7. 第参章前半の世界観とその設定の解説

本作の世界観とその設定が複雑なので、

解説を加えることにしました(2022/11/27)。

ここでは、第参章のうち、第34話までを、

便宜上、第参章前半と呼ぶことにする。


この第参章前半では、本作の好敵手(ライバル)であり、

もう一人の主人公でもある人物が登場する

背景を好敵手(ライバル)の視点で描いている。


これまでも色々な機会に何度も繰り返し述べてきたことだが、

異世界小説では、屡々(しばしば)、主人公が無双状態になる

という展開が散見される。


その主要な原因としてあげられるのが、

主人公と同様の手段で転移や転生をした者がいないため、

主人公には前世の高度な知識があるが、廃れたなどの原因で、

周囲には同等の知識を持つ者がいないという状況が発生する。


その結果として、主人公が突出して強くなってしまうのである。

要するに、一言で言えば、「好敵手(ライバル)不在」が原因である。


更に、「チートスキル」と呼ばれる反則級技能や、主人公の周囲が

イェスマンだらけの「ハーレム」という状態となる場合、

その無双展開には、より拍車が掛かることであろう。


本作の執筆動機がそれらへのアンチテーゼにあることは否定しない。

従って、無双展開を阻止するため、好敵手(ライバル)の登場は必然である。

将棋でも相撲でも一人では対戦が出来ないことは自明である。


――――――――――――――――――――――――――――――


では、一般的に、「好敵手(ライバル)」となるべき人物には、

どのような人物像を想定するべきであろうか。


主人公が行く先に(ことごと)く出現し、

遭遇する度に、難癖を付ける輩が望ましいか?


或いは、自らがエリートの如く振る舞う、名門家の出身者か?


同じ分野の先駆者であり、乗り越えるべき壁として設定するか?


かといって、関西人から見た関東圏の人や、

半島の人から見た日本人といったように、

一方的に執着するような関係は、

健全な好敵手(ライバル)とは言えない気がする。


本作では、そこら辺の匙加減が難しく、

どうしても似た者同士となってしまった感はあるのだが……。


――――――――――――――――――――――――――――――


さて、多くの異世界小説では、エルフが、

主人公の仲間に二番手として加入することが多い。

主人公の転移・転生先の異世界において、現地出身で、

案内や解説の役を担うことになる、いわば地元民である。


それらエルフの多くは、弓か魔法、或いはその両方を使う。

現実世界で、エルフに似たような民族はいるだろうか?


金髪碧眼は、西洋風だが、日照時間が少なめの北欧が発祥であり、

本作では、並行世界の日本が舞台なので、身体的特徴の模倣は

却下することにしよう。


匈奴、突厥、蒙古などの遊牧民族は馬に騎乗するが、

エルフは騎馬民族ではなさそうなので、狩猟採集民族として、

北海道や樺太のアイヌやニヴフ、或いは、ツングース系の民族

と考えると、シャーマンなどの呪術系と、トリカブトなどの

矢毒を用いた弓術は、エルフの特徴に近いだろう。


これが、本作の世界観における、【蝦夷(えぞ)エルフ】という、

独自の種族が設定された、発想の経緯である。


また、「エルフ」がいるなら、「ダークエルフ」もいるだろう。

ここで、【(ダーク)エルフ】の「(やみ)」を「病み」と

読み替えると、【病みエルフ】になる。字面から、寿命短そうなので、

突然変異の短命種、という設定をすることになるだろう。


しかし、エルフは、殆どの異世界小説において、

普通の人族よりも長寿の種族として描かれるため、

短命種といっても、普通の人族と同程度の寿命は持っている上に、

長命種と比べて、強力な魔力を有するため、

実は、完全に人族の上位互換ともいえる。


但し、白銀の髪に真紅の眼という、

「アルビノ」と呼ばれる容貌なので、

視力が弱く、弓術士としては致命的かも知れない。


余談だが、独逸(ドイツ)語の数字の「11」は、

「エルフ」と呼ばれている。そこで、次回作では、

数字の「12」を意味する、独逸(ドイツ)語から、

拾弐夷(ツヴェルフ)】という種族を設定することにした。


――――――――――――――――――――――――――――――


ここで、本作の好敵手(ライバル)が、弓使いであることが殆ど確定した。

そこで、弓に(ちな)んだ名字を探してみると、

日本史の教科書に登場する物部氏の傍系に「弓削氏」があり、

こちらも日本史の教科書に登場する「弓削道鏡」や、

その他にも陰陽師も輩出しているらしい。


これは、先述の名門家出身のエリートという構図に当てはまりそうである。

また、物部氏は「モノづくり」、弓削氏は「弓を削る」という点も、

産業立国である日本の職人という印象を与えることだろう。


大半が高校受験をするのに対して、中学受験を経て、

中高一貫校へ進学するのは、選ばれた一部の者のみとも捉えられる。

そして、確かに名門家出身の者ならば、中学受験をすることもあるだろう。


主人公が公立の底辺小学校で酷い「いじめ」を受けた境遇から

脱出するために、中学受験を志し、塾で名門家出身のエリートと

衝突するという展開であれば、不自然ではない。


そこから、主人公は、中高一貫校でさらに努力を重ねて、

大学では、物理学科に進学したのであろう。


では、何故その隣に好敵手(ライバル)の彼はいないのか?

彼は果たして生きているのか、それとも死んでいるのか。


電気街だった秋葉原がアニメの聖地へと変貌を遂げた頃に

大学生だったというのであれば、中学受験は、1990年代後半~20世紀末。

「ノストラダムスの予言」、「2000年問題」、「パカパカ」、

「ゆとり教育」といった社会問題が騒がれていた時勢の頃となる。

ここでは、分かり易さを重視して、10年前と考えることにしよう。


物理学科では、量子力学を履修するが、量子力学には、

「シュレーディンガーの猫」という例え話がある。

死体を確認するまでは、好敵手(ライバル)の彼の安否も不明である。


あくまで主人公の目的は、転移する前の元の世界に帰還すること。

それを最も強い動機として動いている。


短気な主人公の苛々(イライラ)は、その台詞に

「どうぞ異世界の旅をお楽しみ下さいツアー」等と

尖った表現で揶揄している辺りに、特に強く現れている。


その彼が、最も重要な目的である「現実世界への帰還」を

覆す程の別の目的が発生するとしたら、10年前に生死不明

となった好敵手(ライバル)を取り戻すことは、

それを満たすのに充分な強い動機となるのではないだろうか。


この世界には、死語、絶滅種、廃駅など、現実世界では

既に喪われてしまったものが存在している。その中には、

10年前に喪った好敵手(ライバル)との絆も含まれていたのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――


さて、問題はこの両者をどのように結びつけるかという点にある。

主人公は転移だし、転生は人死にが出る都合上、却下したい。

他には憑依という方法があるらしいので、この好敵手(ライバル)は、

幽体離脱した精神のみの状態で、実体がないことにしよう。


憑依先が【蝦夷(えぞ)エルフ】という種族であることから逆算しても、

本体は昏睡状態で、函館辺りの病院で眠っていることになるだろう。

逆に、憑依先の【蝦夷(えぞ)エルフ】は、心無き身体(からだ)

という廃人状態であれば、これに憑依することによって、

新たなる一つの生命(いのち)として、擬似的な転生状態となる。


これが、幽体離脱している精神のみの状態を「幽」として、

心無き身体(からだ)を「体」として融合させる【幽体融合】、

略して、【幽合】である。


次に、この憑依先を先程の突然変異の短命種、【病みエルフ】にすると、

廃人状態となった理由に対しても、説明が可能となる。

突然変異の短命種である、【病みエルフ】は、

長命種よりも強力な魔力を有するため、長命種からは

【祟りの子】と呼ばれ、恐れられており、

差別されていたことが、廃人状態となった理由としている。


以降、【幽体融合】、或いは、【幽合】した者という意味で、

「勇者」に(なぞら)えて、【幽者】と呼ばれる彼だが、

完全に人族の上位互換である。


そのような強力な力を何の代償もなく使えるようでは、

物語の設定が破綻するだろう。

或いは、今後彼が元の人間だった状態に戻せるのだろうか、

戻せなければ、転生と同様に後味が悪いだろう。


そこで、何かしらの制限を設ける。

或いは、この制限こそが上記の懸念の両方を

解決するものであることが望ましい。


それが「幽」と「体」の分離である【幽体分離】、

略して、【幽離】であり、興奮して昂ぶったりすると、

【幽体融合】が解除されるという仕組みとなる。


この好敵手(ライバル)は、精神状態が中学受験の頃のまま、

肉体は大学生の主人公と同年齢であるため、煽り能力は高いが、

煽り耐性は低いという、歪な成長をしており、それが

皮肉なことに、【幽体分離】、或いは、【幽離】の

条件を満たしやすくしている原因となっている。


――――――――――――――――――――――――――――――


また、【魔道具(マジックアイテム)】として、

読心(とうしん)の宝珠】が登場したが、

ここで、「読心」の読みは、「とうしん」ではなく、

「どくしん」ではないかと(いぶか)

読者がいるかも知れない。


それでは、「読点」は、「とうてん」ではなく、

「どくてん」と読むのだろうか?


どうしても名称が腑に落ちないという読者は、

日本とは、似て非なる異界、荒脛巾(アラハバキ)語だと、

「読心」の読みは、「とうしん」であるという、

「設定」だと解釈してほしい。

次回、「#8. 第参章後半の世界観とその設定の解説」を予定。

更新日時等は未定。


※続編「孤高の光と闇の相克」をカクヨムのみ公開(更新間隔は、不定期更新の予定)。

https://kakuyomu.jp/works/16817139558037398721

理由:小説家になろうの仕様では、フラクトゥールが環境依存文字で使えないため。

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