#6. 第弐章後半の世界観とその設定の解説
本作の世界観とその設定が複雑なので、
解説を加えることにしました(2022/11/06)。
ここでは、第弐章のうち、第25話からの異世界5日目以降を、
便宜上、第弐章後半と呼ぶことにする。
まぁ、第25話は、異世界4日目の終業後から始まるのだが、
教育行政に関して、常井氏と議論しており、
第29話の常井氏の外伝でも、その議論の続きが見られる。
いずれにしても、普段、言葉の意味を疎かにして、
造語を使いまくっていると、定義が曖昧な言葉が
齟齬を産む点について、指摘している。
ところで、本作の主人公は異世界転生をしているわけでもなければ、
異世界でのスローライフを満喫したいわけでもない。
当然だが、拉致紛いの方法で異世界転移をさせられている以上、
早く問題を片付けて、現実世界に戻りたいのである。
だから、「どうぞ異世界の旅をお楽しみ下さいツアー」等と
尖った表現で揶揄しているのは、短気な主人公の苛々が
現れていることを意味している。
常井氏はこの異界の地元民であるし、ブルクドルフ氏も常井氏も、
各々の異界は、時間経過が独立していることを知っている。
主人公にもそのことは説明しているようだが、
それでも、この焦らない二人と主人公との間には、
段々と温度差が生じてきている点を理解しておくと、
物語中の主人公の苛々が伝わるかも知れない。
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一方で、小学校高学年の頃、中学受験の塾に通う秀才でありながら、
喧嘩や、路上格闘を繰り返していた主人公の
戦闘における才能は、ブルクドルフ氏や常井氏が、「戦闘民族」と
呼んでドン引きする程であり、大学でも物理学科上位の成績を誇る、
頭の回転の速さと、主人公の短気な性格に起因する攻撃性により、
有り得ない程の成長速度で開花する、こちらの世界側の視点では、
逸材と呼べる存在と化していた。
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戦闘面では、登場する魔素生命体―魔物・魔族・魔獣・魔人の総称―の
主人公との対決順序には、勿論きちんとした意味がある。
1. ブルクドルフ氏から、黒キ楯を貰う。
2. 蜘蛛神社で巨大蜘蛛と対峙する。
3. 巨大蜘蛛を供物として、八岐大蛇から蛇語を解する加護を授かる。
4. 常井氏から、狗族・猫族対策として、
「テオブロミンを経口投与」を示される。
5. 黒キ楯から、鏡ノ楯への
切り替えを覚える。
6. 蛇語を解する状態となった主人公が、
【メデューサ・ゴルゴン】と対峙する。
7. 【メデューサ・ゴルゴン】を黒キ楯で吸収し、
石化能力を持つアイギスへの切り替えを可能にする。
8. 狗族である、【九尾の火狐】が、石化による封印から解き放たれる。
9. 上記4. の狗族対策と、上記7. の石化能力を持つアイギスを持った
主人公が、【九尾の火狐】と対峙する。
成長速度は驚異的だが、それでも初心者に過ぎない主人公が、
強敵と戦闘するためのお膳立てをするブルクドルフ氏も常井氏の
脳内には、上記の詰め将棋の様な明確な手順が描かれていたのだろう。
魔素生命体の名称由来に関しては、以下の通り。
・代田ラボッチ=代田+ダイダラボッチ
・八咫烏天狗=八咫烏+烏天狗
・九尾の火狐=九尾の狐+狐火
割と安直ではあるが。
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一方、魔素生命体の出現場所に関しては、
東京・神奈川に限定しているため、選定には難航した。
八岐大蛇は、何か「八」に関する場所で、ダンジョン最深部に
棲息するという印象と、現実の地下最下層が国立国会図書館の
「光庭」という、地下8階であることから、【象牙の塔】という
図書館ダンジョンの最下層ということで割とあっさり決まった。
これが、九頭竜であれば、出現場所の選定は難航しただろう。
後で知ったのだが、「蛇窪」という廃止された地名があるので、
今考えると、【蛇窪遺跡】の最深部というのも候補だろうか。
では、八咫烏天狗の出現場所は何処にするべきか。
既に、「八」に関する場所で、【象牙の塔】の地下8階は使用済み。
明らかに飛行能力がある存在を地下に閉じ込めておくのも不適。
東京西部に「八」に関する場所として、八王子があり、
その近くにある高尾という場所は、天狗に関係するらしい。
鵺はレッサーパンダに比定する説があるので、
レッサーパンダ絡みで、川崎市の「夢見ヶ崎動物公園」が
思い浮かんだ。余談だが、川崎縦貫高速鉄道の計画では、一時期、
「夢見ヶ崎動物公園」の付近に駅を設置する計画もあったらしい。
ダイダラボッチは、本作の世界観では、代田ラボッチ
なので、代田で確定。実際に、ダイダラボッチの足跡に由来する
地名らしいし、ご当地キャラと考えれば、出現場所としては最適。
そういえば、相武電気鉄道にも代田駅が設置予定だったらしい。
問題は、九尾の火狐である。那須の殺生石と考えると、
栃木県になってしまうが、栃木県の日光辺りを想定すると結構遠い。
火山絡みであれば、硫黄で有名な箱根の大涌谷も候補に入りそうだが、
狐火は大気中のリンが燃えたものであるから、若干違和感がある。
仕方が無いので、ボス面として実装し、【転移の鳥居】を使用して、
そのステージへと繋げることにした。栃木県でも箱根でも、
或いは、その他の候補地として、読者諸氏の脳内で
思い描いた場所でも構わないので、各自の自由に補完して頂きたい。
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また、本章にて、「ジヒドロゲンモノオキシド」という、
水属性の技の名称が登場する。これは、水をIUPAC命名法で
読んだだけであり、和訳すると、「一酸化二水素」となる。
或いは、これを略して、「DHMO」とも呼ばれる。
誰もが知っていることを分かり難く表現することで
有名なこの冗句であるが、異世界小説では
殆ど見掛けないため、敢えて使ってみることにした。
水は、例えば、英語で「water/ウォーター」、独逸語で
「Wasser/ヴァッサー」、イタリア語語で「acqua/アックア」、
ラテン語で「aqua/アクア」、古英語で「wæter/ワテル」、
北海道アイヌ語で「wakka/ワッカ」、樺太アイヌ語で「wahka/ワハカ」
等となる他、西夏文字で水偏―漢字の「氵」に相当する―は、
カタカナで「ノレフ」と縦に書いたような文字となる。
「水」を表す単語が、「wa」で始まり、 「a」で終わっている
という特徴から、アイヌ語は、印欧語族との何らかの関係が
あるのではないかと思われる。
次回、「#7. 第参章前半の世界観とその設定の解説」を予定。
更新日時等は未定。
※続編「孤高の光と闇の相克」をカクヨムのみ公開(更新間隔は、不定期更新の予定)。
https://kakuyomu.jp/works/16817139558037398721
理由:小説家になろうの仕様では、フラクトゥールが環境依存文字で使えないため。




