23 女ばかりにされた村
隊列は徒歩で混合林の中を抜けていく。ようやく明るく開けた草原。そこには、牛と羊、猪などが自由気ままに放し飼いにされていた。そのなかに、村と思しき所へ向けて、入っていく。それがチュライタウンだった。
ここの人類は、灰青色の目とグレーホワイトの肌を有している。ただし、女だけ。出てくる家畜人類の女たちは、みなアフマドに目を注いだ。
「ここは、女の人しかいないのかな?」
アフマドは、村の光景を見ながら言う。ハディージャも、改めて周りを見渡した。
「え?」
「これはおかしいな」
隊列の先頭にいる提督のラタノルライも首をかしげている。
「おかしい。家畜人類のメスたちがモノ欲しそうに、このオスを見ているな」
隊列はそのまま村の中央へ到着する。此処に至るまで目にした建物は全てが円錐状のテント。同じ長さに切った杉の木を、互いに立てかけた簡単な構造だった。
「ここがダイアナの住居だな。ここには、俺の大切なペットのダイアナとコリオレイヌスを住まわせている」
「これは、まるで、僕達の育ったところと同じだ」
「そうね」
「お前たちつがいは、この家でダイアナたちと一緒に暮らすんだ」
ラタノルライがアフマドを見つめながらにやりと笑う。その笑いの中に含まれる、アフマドにとって都合の悪い意図。アフマドはハディージャを一瞥してからラタノルライを睨んだ。
「なんでここに住まわせるんだよ」
「ああ、アフマド、お前もそろそろ一人前のオスだろ。このダイアナたちのつがいの営みを学べ」
「つがいの営み? なんだ、それは?」
「営みとは、ここでの過ごし方だ、とでも言っておこうか。こう言えばハディージャはわかるらしいが、アフマドにはわからないかな」
「ハディージャが知っていて、僕が知らない?」
そう口走ったものの、すぐにアフマドは嫌な予感を覚える。それを裏付けるように、後ろからアフマドの腕を捕らえるハディージャ。アフマドはラタノルライを睨んだが、彼はニヤリと微笑みを返すだけだった。
「ハディージャが知っていて、僕が知らない事実なんてないぜ......」
アフマドはそう強がりを言いながら、後ろを振り返る。そこには、ハディージャの満願のほほえみ。その笑顔を見つめながら、アフマドはやがて顔をこわばらせた。
「まさか、ハディージャの身体の秘密か....それはいけない。ダメ....だ。ねえ、ハディージャ、ダメだよね」
だが、ハディージャはつかんだアフマドの腕を放そうとはしない。そこには、逃がさないわよという決意。彼女は、無言のまま彼の腕をもう一度強くつかみなおして微笑んだ。
「おお、いいね。まずは学んでもらうことにしよう」
ラタノルライは、相変わらずアフマドににやりと笑い掛けながら続ける。
「そのうち、父上の品種改良の遺伝子資源として、十分に活躍してもらうんだからな」
彼が続ける言葉に、アフマドもハディージャもラタノルライの顔を見上げる。済ましたようなラタノルライの表情。それは、いたずらを楽しんでいるのか、それともアフマドとハディージャの身の安全をしっかり考えているのか、全くわからなかった。
「そうそう、それからここに棲めば、村の女たちから襲われる危険もないぜ」
「村の女たち?」
ラタノルライの言葉に、ハディージャが反応する。先程までは「待ちきれない」と言いたげだったハディージャ。今は、村の女たちという言葉に反応して、慎重に警戒する顔に戻った。その顔を見て、アフマドはハディージャを横目で一瞥した。
「襲われる虞があるのか? 村の女たちからか? ハディージャからだけじゃないのか?」
「それ、どういう意味よ」
その様子を見ていたラタノルライが説明を加える。
「ダイアナによると、彼女の夫コリオレイヌスは、村の男たちがいなくなった事実を知ってから、村の女たちの相談相手になったそうだ。そのときからか、彼は、村のすべての女たちを慰めているらしい。ということは、彼の近くに居れば、村の女たちからは襲われる可能性がないだろうね」
「そうか、良かった」
アフマドがホッとした顔をする。その横では、ウフフというハディージャの小さな声。それに気づいたアフマドがハディージャに向き直ると、彼女もアフマドを見つめて返事を返した。
「そう、これでじっくり取り組める。よかったわ」
その言葉にハディージャは微笑みを添える。アフマドが感じたのは、なぜか少しばかりの戦慄。彼女の微笑みは、彼らを観察しているラタノルライの微笑みと同じような雰囲気を纏っていた。
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その夜、とはいっても眠る時間であるために、この家全体が遮光されて真っ暗とされているにすぎない。
アフマドとハディージャは同じベッド。ただし、互いに意識したのか、少し離れて眠りについていた。
「なんだ?」
「しずかにして」
ハディージャが急に寝ているアフマドのすぐ横に潜り込む。体をこわばらせるアフマド。ハディージャはその様子を感じて、アフマドにいたずらっぽく話し掛けて来た。
「今、何かをしようとかは考えていないわよ......ただ、外の様子がおかしいの」
アフマドは、そう言われて初めて外の物音に気付く。がさがさという無数の足音。決して屈強な男たちのそれではなく、遠慮がちに徐々にこの家に近づこうとする様子が感じられた。
「大勢の女の人たちだね」
「確かにそうね」
「何をしに来たんだろうか? まさか......」
アフマドはそう言ったとたん、ハディージャに顔を向ける。ハディージャはそんなアフマドを複雑な顔つきで見つめた。
「たぶん、この家のなかにいる男を狙ってきたのよ」
「大人数で、か?」
「村の女たちだろうから、おそらくコリオレイヌスを狙っているんでしょうね」
「ということは、あぶれた一部の女たちがこの部屋に来る可能性もある、のか?」
アフマドが裏返った声を出すと、ハディージャはびしっと彼を黙らせる。
「し、静かに...」
そう言いつつ、ハディージャは外から中へ入ってくる足音に耳を澄ませた。
「この部屋、貴方のところへも来るかもしれないわね.......でも、私があなたの上にかぶさっていれば、たぶん彼女たちは襲って来ないと思うんだけど」
「それって......まさか」
「そう、私たちが営みをしていると思わせるのよ」
「うーん、それはわかった。でも、服は着たままで、おねがいします、ね。うつぶせになった僕の上にいてください。いざとなったら逃げだすためだから......それから、僕はハディージャに手を伸ばさないから、ね」
「アフマド、なんで急に丁寧な言葉遣いになっているのよ」
こうして、ハディージャはアフマドの上に重なって静かに周囲の様子をうかがう。隣室のダイアナたちの声と物音。コリオレイヌスとの時を過ごす順番を巡って、女たちが争う様子が聞こえた。
「私は待ってられないよ」
一人の女がそう怒鳴るのが聞こえる。アフマドが感じたのは言い知れぬ不安感。やはりアフマドを狙って、女たちの数人が部屋に入ってきた。
「こちらの部屋じゃないの? あのダイアナを守ったとかいうカッコいい男さ」
「そうだねえ」
「見てみようよ」
その言葉とともに、数人の女たちが入り込んでくる。アフマドはすっかり冷や汗。背中に座り込んでいるハディージャだけが彼にとっての頼りだった。
「貴女達、何しに来たのよ」
ハディージャが入ってきた女たちに大声を出す。女たちの一瞬の戸惑い。ハディージャは畳みかけた。
「私が彼の相手なのよ。手を出さないでよ」
「へえ、服を着たままで、相手をしているわけ?」
「しかも、男の方はうつぶせじゃないのさ。どうやって相手をするのさ」
女たちは疑問を口にする。何か決意したようにこぶしを握るハディージャ。彼女は、アフマドの耳元に小声で謎めいた言葉を伝えた。
「アフマド、ごめんね。営みをしているように見せないといけないから」
そのことばに、アフマドは悪い予感しかしない。それを裏付けるように、彼の背中に伝わる衣擦れの音。アフマドの想定によれば、彼女は上半身の服だけを脱ぎ去ればよいはずだったのだが……。
だが、その後も衣擦れの音が続く。上半身の服だけでなく、胸から何かを外すしぐさ。その後、彼女は少しばかり尻を浮かした。もう解放してくれるのか、と思ったら、それはアフマドの誤解。ふたたび座り込んだ彼女の尻は、もはや何も身に着けていないように感じられた。
その後も、衣擦れの音。ハディージャは、次々に残りのすべてを脱ぎ捨てていく。しばらくして、アフマドが驚愕と共に背中に感じたのは、ハディージャの柔らかい上半身とむき出しの尻と両太腿。こうしてハディージャは、すっかり残りのすべてを脱ぎ捨て去っていた。
同時に、彼の火照った肌に、彼女のぬくもりと高まる鼓動が伝わる。熱くなった彼の耳には、彼女の興奮した息遣い。彼は徐々に頭の中が熱くグルグル回り始めた。
「貴女達、私はこれからが楽しみの時間なのよ。邪魔しないで!」
ハディージャが怒鳴る。返ってきたのは想定外の言葉だった。
「へえ、でも、男がうつぶせじゃあ、始まらないよね」
「私たちが手伝ってあげるよ」
「俺は一人の女しか愛せないからな」
アフマドは、うつぶせのままそう声を上げる。ひるむ女たち。だが、女たちは引きさがらなかった。
「ねえ、このままだと、この女たちに襲われてしまうわ。だから、仰向けになって…あとは私に任せて」
ハディージャが耳打ちする。アフマドは小さくうなずいた。
「わかった」
アフマドはゆっくり仰向けになる。目に入ったのは、星明りの中で裸身を晒すハディージャ。彼女は彼の服に手を伸ばし、アフマドの上半身をはだけさせた。
「な、なあ、これは拙いよ」
「しい、黙って!」
ハディージャはそういうと、アフマドに口づけし、もぞもぞと体を動かし始めた。
「なんだ、これからはじめるのね」
「わかったわよ」
「でも、その後は私たちの番だからね」
数人の女たちはそう言ってドアを閉めて出て行った。
「ま、まずい、なんか、まずい。ハディージャ! キスはいけない。それに、そこで腰を動かすなんて......もう動くな。う、これはまずい事態だ」
「いいじゃない、このまま、いろいろ教えてあげる」
「だめだ、あのドアの外では、彼女たちが明らかに僕たちをうかがっている。こんな状態ではいけないよ」
「でも、あなたも反応しはじめているのよ」
「こ、これは、いけない! ダメだよ、いけない状態だ」
「だから、私に任せて」
アフマドは、慌てて逃げ出そうとする。だが、すでに抑え込まれている彼の両腕。戦いであれば全身を使って跳ね起きるのだが、目の前にいるのが最愛のハディージャであるためか、それ以上身動きが出来なかった。
ハディージャは、ゆっくりとアフマドの両手を捕らえて、自分の身体に触れさせる。拒もうとするアフマドの決意と、言うことを聞かない身体。アフマドは、徐々ににっちもさっちもいかない状況に陥っていった。
「な、なあ、お願いだよ。僕の身体がおかしな状態になっているのを、分かっているんだろ? だから、お願いだ、これは拙いよ」
アフマドは、半分訴えるようにハディージャを説得する。だが、目が座っているハディージャ。しまいに彼は、彼女に半分脅されるようにして怒られた。
「静かにして! あなたはただ大人しくしていて」
ハディージャがアフマドの両手を取ったまま押える。その後、その状態のまま、徐々にもぞもぞと動きはじめた時だった。
突然、数発の吹矢の音が響く。驚いて両手両足に力を込めてアフマドにしがみつくハディージャ。アフマドは、ハディージャに抑え込まれていて身じろぎもできない。そうしていると、隣室から男の苦しそうな声が聞こえてきた。
「これは、麻酔の矢......お前たち、今まで慰めて来たのに、裏切ったのか....」
この声とともに、どさりと人が転がる音が聞こえる。音からすると転がったのは夫のコリオレイヌス。そのあとに、ダイアナの声が響いた。
「私たち、お楽しみの最中だったのに......あんたたち、どういうつもりよ」
女たちが激しいやり取りをしている。一方は、明らかにダイアナの怒号。それにもかかわらず、大勢の女たちが手分けをして、数人がダイアナを抑え込みつつ、他の女たちはコリオレイヌスを運び出す様子がうかがわれた。
「あんたたち、あの人を放せ」
「そうはいかないわ、ダイアナ。ここで少しばかりおとなしくしていないと、命が無くなるわよ」
そういうと、女たちは大騒ぎをしながら遠くへ去っていった。
騒ぎは急に収まる。すると、しばらくして、ダイアナがアフマドたちの部屋に飛び込んできた。
「た、助けて!」
ダイアナは、蒼い顔をしながらアフマドの顔めがけて縋り付く。それをきっかけに、アフマドはほっとしたように声を上げる。
「フウ、助かった」
ハディージャはアフマドの腰に跨ったまま、呆気にとられる。それを横目に、アフマドの顔を両手で抱え込むダイアナ。ハディージャの顔には怒りの表情が現れた。
「助けてって、どういうこと?」
ハディージャは低い声でダイアナに声をかける。だが次の瞬間、凍り付く二人。アフマドに縋りついたダイアナは、何も身に着けないままだった。
彼女はそのまま彼の肩に乗っかるように覆いかぶさる。彼の首のあたりには縋りつくダイアナ、腰のあたりにはダイアナを牽制するように動くハディージャ。他方、二人の下にいるアフマドは、ハディージャに両手を押さえつけられたままであり、どんな努力をしても身動きが出来ない状態だった。
「あの女たちが私の彼を奪っていったの!」
ダイアナの涙声に、アフマドは戸惑う。それでも、一応は冷静に彼女から説明を聞こうとする二人。だが、ダイアナはより積極的な姿勢でアフマドに縋りついた。
「え?」
「待ってよ」
アフマドとハディージャが悲鳴を上げる。強まるばかりのダイアナの勢い。ついに彼女は、アフマドの肩のあたりで激しく体を揺らして訴え続けた。
「彼があの女たちによって無理やり連れ去られたの......」
困ったことに、ダイアナは裸身のままで大粒の涙を流す。その後ろには、何かを叫んでいるハディージャ。肩にダイアナ、腰にハディージャという二人の動く重量の下で、アフマドはもう何をしていいのかわからなかった。
「ダイアナ、服を着て出直してきなよ! アフマド、この裸の女を何とかしてよ!」
ハディージャが叫んでいる。だがダイアナは聞こえないのか、さらにアフマドの顔を両脚も使って抱え、強く揺さぶる。
「おねがい、たすけて」
「お、ね、が、い、だ。た、す、け、て」
言い合いをする二人の少女の足元で、押しつぶされた声が聞こえる。やっとその状態に気づいたダイアナ。ハディージャはもう一度、ダイアナに怒鳴った。
「出直してきなよ。ほら、アフマドがだめになっているわ。彼って、まだ、女の子のことを何にも知らないのよ」
「え、だって、あなたはもう彼の腰の上......」
「ダイアナ、あんたが割り込んで、此処へ私を押しやったからでしょ!」
「でも、彼も準備が出来ているように見えるわ」
「これは見掛け倒しなのよ。アフマドはこうなっていても逃げ出そうとするのよ!」
「見掛け倒し? 助けてくれた時はそうじゃなかったわ。それなら、お礼の意味で、私が教えてあげるわ。だから、その代わりに私の彼を助けて!」
「ダイアナ、それは、妻の私の役目よ」
「妻? その考え方は何の概念かしら? 変なことを言っているわね」
「僕は、今までも最愛のハディージャだけに、愛を現わし続けているんだ」
この時、ようやくアフマドが彼女らの下から、やっと声を出す。
「それは知っているわ。だから、彼を愛する私の愛も分かるでしょ」
「それなら、その愛は彼のためだけに......」
「でも、彼は今いないの、だから、私を慰めて。それが、私の彼を救ってもらうお礼よ」
「慰める? だから、もう、僕とハディージャで君を慰めているじゃないか」
「何を言っているか、分からないわ。私が求めている慰めは、これよ」
ダイアナは、ハディージャに向かい合わせになると、今度はアフマドとハディージャを相手にもぞもぞ動き始める。驚くハディージャ。ハディージャがはじけるように逃げ出すと、続いてアフマドも起き上がった。
「僕たちは、そんな行為はしないんだ......おそらく君たちには理解できないかもしれないが、僕達は互いに相手だけを生涯の唯一の相手として、二人での結婚式で誓いを済ませているんだ」
「なにそれ? 生涯の唯一の相手? 二人での結婚式? 誓い?」
「やはり、理解できないだろうな」
「理解できないわよ。そんな話。それに、そもそも、あなた、こんな魅力的な女たちを前にして、手を出さないどころか、逃げ出すなんて!」
「それはそうね」
「ハディージャまで......せっかく、僕がかっこよく愛を宣言したのに」
「だって、あなたは私が教えようとしたって逃げ出すじゃないの。そんな状態なのに、愛を語るわけ?」
「なるほどね、あなた達に問題があるとは思っていたけど、ちょっと違うみたいね。ハディージャとアフマドが互いに相手を唯一の相手、というのは、なんとなくわかったわ。でも、そもそもこの男がこんなにヘタレなのに、どうして互いに生涯の唯一の相手とかになっていられるのかしら?」
「ダイアナ、実は......彼はいざという時に頼りになるのよ。ただ、女の子を前にすると、まるでダメなのよ」
「そう、かわいそうなのね」
「僕がかわいそうだというのか。そんなことはないぞ。僕は、一生懸命に愛を語って....…」
「愛を語って? それから貴方はハディージャをどうしてあげるの?」
「だ、だから、手を取って、それから....…」
「おかしいわね、貴方、先ほどは両手を取られていたわ」
「だ、だから......」
「アフマド、言っておくけど、かわいそうなのは女の方、ハディージャの方なのよ!いつまで待たせるのよ」
「え、え、僕が怒られるの? どうして? ハディージャ、助けて......」
「情けない男......こんな男に助けを頼んだ私は馬鹿なのかしら」
ダイアナはため息めいた声を出す。その彼女に微笑みかけるハディージャ。彼女はダイアナを励ますように、受合った。
「ダイアナ、彼は人を助けることについては大丈夫。貴女の最愛の人も彼が助けに行ってくれる。そこだけは保証できるわ!」
「そこだけは? そんなことはないぞ....」
アフマドはあくまでもそう主張し続ける。もはや聞いていない二人の少女。アフマドは不満そうながらも、彼の今すべきことと彼のレゾンデートルとにむりやり集中した。
「今は、ダイアナの彼氏を助けることが最優先なんだろ。さあ行くぞ」
その背中を見ながら、ダイアナとハディージャは複雑な表情を浮かべる。特にダイアナの目に浮かぶのは、アフマドに対する深い憐み。アフマドはそんな二人の女の子からの視線に気まずさを感じた。
「な、なんだよ。僕は、助けを求める女の子がいれば、いつも立ち上がるんだぞ」
彼はそういうと、手許にある服を羽織りながら勢いよく立ち上がった。
「へえ、そう......。つまり、あなたは女の子を助けてくれるカッコいい男なのね。でも、そんなにカッコいいのに、なんで裸の女の子がいると、いつもダメなのよ」
ダイアナは、感嘆ともため息ともつかない声を上げる。そう言われたアフマドもまた天を仰いだ。




