光とともに
次回予告
「こちらルリ! 襲撃してきたザガル星人の撃退に成功しました! クラスメイトたちに、ジェニス隊員である事がバレました! 」
通信の向こうで玲が笑っているのも束の間、インカムから再びピピッと緊迫したアラート音が鳴り響き、玲の声が真剣なトーンへと切り替わった。
『ルリちゃん、 気をつけて!ラボの探索センサーが校舎周辺から、高エネルギー反応を検知したわ。反応の規模はどんどん大きくなっている!』
「なっ! まだ敵がいるのか!?」
『ええ。すでにベースからは、迎撃のために『バルキリアス』が発進したわ。学校を覆っていた謎の障壁も解除されてる、今すぐ生徒たちを連れて校外へ避難しなさい!』
玲の指示を聞きながら、俺は背後を振り返る。
そこでは、俺の正体を知ってぽかんと口を開けていたクラスメイトたちが、突然の緊急事態に再び怯え始めていた。
「おい、みんな聞いてくれ! 障壁が消えた! 今のうちに学校から避難するぞ!」
俺の叫びに、クラスメイトたちは我に返ったように頷き合い、一斉に出口へと駆け出し始める。
その混乱の中、俺は肩の上にいるバロンに向かって、冷や汗を流しながら早口で問いかけた。
「おいバロン! さっきのザガル星人よりやばい奴が来るのか!? いったい何が現れるんだよ!」
バロンは耳をピンと立て、険しい表情で校庭の空を見上げる。
「間違いない。あいつらが工作員なら、おそらく――『ザガル星人の護衛異獣、ガルサス』が現れる!」
バロンのその言葉を聞いた瞬間、校庭の大地が地響きとともに大きく揺れ始める
校庭の上空の空間がぐにゃりと歪み、巨大な人型の異獣が姿を現わした。
鎧状の皮膚が異形の騎士を彷彿させ、手には斧の様な武器を持っている。
その圧倒的なプレッシャーに、避難しようとしていたクラスメイトたちが恐怖で足を竦ませ、その場に崩れ落ちる。
「ルリ、変身だ! あのサイズが相手じゃ、通常サイズの魔法少女じゃ歯が立たない! 一気に『マジカルモード』へ移行するんだ!」
背後には避難しきれず怯える生徒たちがいる。ここで俺が逃げたら、全員まとめて宇宙人の生体バッテリーにされてしまう。
腹をくくった俺は、マジカルスティックを天高く突き上げ、叫んだ。
「くそっ! こうなったらヤケだ、やってやろうじゃねえか!!」
次の瞬間、マジカルスティックから世界が白く染まるほどの眩い光が放たれ、俺の身体を包み込んだ。
体温が急激に上昇し、重力の感覚が消え去る。みるみるうちに視界が高くなり、校舎の屋上が足元へと沈んでいく。
まばゆい光の奔流に包まれながら、俺の身体はビルをも凌駕するほどのサイズへと――文字通り「巨大化」を果たしたのだった。
「おおおおっ……! からだ、でかっ……!?」
光が収まり、ふと見下ろすと、そこには自分たちが通っていた高校の校舎がミニチュアのように小さく見えていた。
手のひらに意識を向けると、淡く輝くエネルギーが収束していく。光の粒子が編み上げられ、俺の手にずっしりとした手応えを持つ「マジカルスティック」が具現化した。
先端には星型の宝石があしらわれ、およそ実戦的とは言えないメルヘンな意匠。
「ハク・・ルリちやん!」
背後から、クラスメイトの一人がかすれた声を漏らす。
驚き、困惑、そして微かな希望が入り混じったその声が背中から痛いほど伝わってきた。
(こうなったら、カッコつけるしかないだろ!)
俺はぐっとスティックを構え直し、ガルサスへと切っ先を突きつけた。
「お前らの好き勝手にはさせない! ここから先は一歩も通さないからな!」
このメルヘンチックなマジカルスティックで、どう戦えばいいのか?
先端の星型をじっと見つめてみるが、どう見ても近接用の武器というよりもキラキラした光を出すための物にしか見えない。
少なくとも、これで目の前の不気味な異獣を物理的に殴打するのは、リーチの面でも耐久性の面でも間違いなく下策だ。
「おい、バロン! この棒っきれどう使えばいいんだよ!?」
俺は肩の上で、ちょこんと浮いているバロンに小声で問う。
するとバロンは短い手足を組んで、ふむと気取った仕草を見せる。
「そうだなぁ・・・スティックのエネルギーを限界まで拡張して、剣の形に固定してみたらどうだい?」
「剣ってまさか、レーザーブレードみたいなやつか?」
「そう。スティックの先端から星光エネルギーを伸ばして、マジカルソードを作ってみるんだよ」
「おお! なんかカッコ良さげじゃん!」
おっさんの中にある少年の心が、ほんの少しだけ刺激される。
俺は某特撮のメタルヒーローが、ブレードを構える姿を脳裏に浮かべる。
「マジカルブレードッ!」
左手をスティックの根元から先端に向けてスライドさせると、その軌跡を追うように根元から先端に向かって一気に青白い光が走り、まばゆい光の剣へと変化した。
全てを切り裂くような熱量が周囲の空気を歪め、一筋の光の刃が輝きを放つ。
「すげえ・・・本当に剣になったぞ!」
思わず自分の手元を見つめて感嘆の声を漏らす俺。
背後でクラスメイトたちが「うわ、すっげえ光った!」「ルリちゃん、なんかすごい武器出したぞ!」と、恐怖から一転して目を輝かせて見守っている。
正体がバレた上に、今度は巨大魔法少女として怪獣と対峙する羽目になった元・社畜の運命やいかに――!?
次回予告
一難去ってまた一難、護衛異獣なんてモノが現れた。
えーい、俺の必殺技を喰らえー
次回「星の守り手」でFuture Go!!




