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星を護る者  作者: 花鹿
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11/20

閉じられた罠

 

 ともかく、色々個人的な問題(俺の尊厳の危機)はあったが・・・

 犯人に繋がる情報は何も得られなかった。


 そして、潜入調査八日目の放課後・・・異変は起こった。


 相変わらずテンションの高い女子たちに構われて、心身ともにすり減り疲れ切った俺は昇降口でローファーに履き替えた。


 そして、さあ外に出ようとした時"ガッン"と額に衝撃が走った。


「いたっ?」


 何かと思い手を伸ばすと、見えない壁のようなものがある。

 ペチペチと叩いてみても微動だにしない。

 これでは校舎の外へ一歩も出られない。


 周囲の生徒たちも「え、何これ!? 外に出られないんだけど!?」と異常事態に気づきパニックを起こし始めていた。


 事態の異常さを察知した俺は、すぐさまポケットからインカムを取り出し外にいる玲たちに連絡を試みた。


「こちらルリ! 昇降口が謎の障壁で封鎖されました! 外への脱出が――っ、玲さん、聞こえますか!?」


『――ルリ、っ、き、こ・・・こえ・!? ざざっ、通信が――!』


 通信機から突然耳障りなノイズが響いたかと思うと、プツリと通信が途絶えた。

 外部との連絡が何者かに遮断されたのだ。


「くそっ、マジかよ!」


 仕方なく、俺はこの異変の原因を探るため、再び校内へと引き返すことにした。


 広い廊下を歩いていると、まだ部活や補習などで残っていたクラスメイトが数人、不安そうに集まっているのが目に入った。


「ねえ、外に出られないって本当? なんか校庭の周りも変な光に包まれてるし」


 怯える女子生徒の震える肩を見て、俺はぐっと拳を握りしめた。


 中身がおっさんとはいえ、今の姿は彼らのクラスメイトである「星宮ルリ」だ。

 ここで頼りない姿は見せられない。


「大丈夫だ、きっとすぐに救援が来る。だから落ち着いて、一緒に校内を調べてみようよ」


 そう言ってクラスの仲間たちを励ましつつ、俺たちは静まり返った校舎の捜索を開始した。


 一階、二階に異常は無かったが、三階の薄暗い廊下の先に、非日常が待っていた。


 現れたのは触腕をうねらせ、銀色の皮膚を持つ不気味な異形だった。


「あいつはザガル星人、銀河の悪徳商人だ。我慢できなくて出てきたのか」


 いきなり現れたバロンの緊迫した声が響き渡る。


「ちぃ!」

 俺は、制服のポケットから対異形獣用の銃を取り出した構えた。


 銃口をザガル星人へと向け、トリガーを絞る。


 ビィス!! ビィス!!


 特殊なエネルギー弾が連続して発射され、ザガル星人の銀色の皮膚を激しく打ち据えて火花を散らす。


 不意打ちを食らった怪物は「ギィィッ!」と耳障りな金切り声を上げ倒れた。


 そのあまりに手慣れた銃の構えと、容赦のない攻撃を見た背後のクラスメイトたちが、一斉に息を呑んだ。


「は? え?」


 クラスの男子の一人が、信じられないものを見るような目で俺を見つめ、引きつった声を漏らす。


「ちょ、まっ・・ハルちゃん、その銃って本物!?」


 俺はチラリと背後を振り返り、銃口を敵に向けたまま、ふっと得意げな(しかし内心は冷や汗ダラダラの)笑みを浮かべて答えてみせた。


「私、これでもジェニスの隊員なんだ」


「「「えーーーっ!?!?」」」


 廊下に響き渡るほどの盛大な絶叫が、クラスメイト数人の口から一斉に飛び出す。


 そりゃそうだ、昨日まで同じ教室で授業を受けていた(はずの)おとなしい女子生徒――が突然怪物と戦い始め、更に防衛組織の隊員・・・誰だって腰を抜かす。


「いや、待て待て、頭が追いつかないんだけど! ハルちゃんがジェニス隊員ってどういうことだ」


「あれ?じゃあ・・ハルちゃんって・・ル」


「説明は後で・・」


 混乱のあまりパニックを起こしかけているクラスメイトたちを尻目に、ザガル星人は再び触腕を大きく振り上げ、激昂した様子で襲いかかってきた。


 俺が放った狙い済ました一射は、見事にザガル星人の頭部を直撃した。


 装甲が砕け散る音とともに、星人はぐらりと揺らぎ、そのまま床へ文字通り「呆気なく」倒れ伏して動かなくなる。


「あれ? 意外に弱い?」


 思わず拍子抜けしたような声を漏らす俺に、肩の上でちょこんと浮いているバロンが、やれやれといった様子で前足を振った。


「まぁ、あいつらは人間からエネルギーを回収するのが専門の特殊工作員だからね。直接的な戦闘力はそんなに高くないのさ」


「そうなのか・・・って、安心してる場合か!」


 息をつく間もなく、ポケットに入れていたインカムから「ザーッ」というノイズが消えて、聞き慣れた玲のクリアな声が飛び込んできた。


『――ルリちゃん、聞こえる? そっちの状況はどう?』


 外との通信障害が復旧したらしい。


 俺は倒れたザガル星人の残骸を横目に、やれやれと頭を掻きながらインカムのボタンを押した。


「こちらルリ! 襲撃してきたザガル星人の撃退に成功しました! ついでにクラスメイトたちに、ジェニス隊員であることと多分、魔法少女であることがバレました! どうしてこうなったんですか!」


 通信の向こうで、玲の「あはは、隠し通すのは最初から無理があったわよ」という楽しそうな笑い声が響くのだった。

 


次回予告

姿を現したザガル星人を辛くも倒したルリ。

だが、それで終わりではなかった。

新たに現れる異形獣。

変身せよ!ルリ!!

次回「光とともに」でFuture Go!!

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