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小さな魔王は皆の推しになりました  作者: 光流
最終章 なんのために生きる

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最終話 小さなカラクは皆の推しになりました


 みんなが警戒したようにカラクの前へと進み出る。カラクは心配ないとみんなの目を見てうなずくと、志伯に近寄って行った。


「志伯。王さまは志伯を罪には問わないって言っていたの。戻ったらどうかな? やりたいことがあったんでしょう?」

「……俺は……ゆるされて良いような者ではない」

「誰が赦さないっていうの? 記憶の中の楽太もカラも赦していたし、俺だって赦すの」

「俺は……俺を赦せない」


 志伯は俯いていた顔を上げて、緑色の瞳をカラクに向けた。


「コガネのいた村のように、見ないふりをしてきた事を、これから拾い上げに行ってくる。カラク。お前がしてくれたように」

「そう……それも良いと思うの」

「だから、全てが終わったら……また、お前と旅をしても良いだろうか?」

「ええ!?」


 志伯の懇願にカラクは驚いた。後方のみんなからは、唸り声と殺気が飛んでくる。


「俺は楽太じゃないよ?」

「……ああ。……ああ、わかっている。すまなかった。カラク。けれど、お前と旅をして、お前がする正しい事を一緒にすることで、いつか俺も俺自身を赦せるようになる気がするんだ」

「志伯。俺は俺のしたいことをしてるだけなの。それが正しいかどうかはわからないの。志伯が自分で考えなければいけないこと。それでも良いなら、いつかみんなと一緒に、志伯も旅をしよう」


 後ろから驚きの悲鳴に似た声が聞こえてくるので、カラクは後でみんなに一生懸命お願いをしようと考える。


「ああっ! ありがとう、ありがとう。カラク」


 志伯はカラクをすくい上げるようにして、抱き締めたので、後ろで待機していた仲間たちが高速で駆け寄ってきて、カラクを奪い返したのだった。


 志伯は、それから振り向かずに、カラクとは違う道へと進んで行く。カラクはそれを見つめて、みんなを振り返った。


「さあ、これからどこに行こう?」


「どこへでも。カラク。我が主よ。カラクが望むのなら、天上へでも、地の底へでも」


 イトラは柔らかな笑みを浮かべると、美しい銀色の髪を風にサラリとなびかせてカラクに手を差し伸べた。


「じゃあ、皆で、他の魔族にも会いに行ってみよーか! 他にも魔族っているんだっけ……」


 イトラは、大切そうに繋いだカラクの手を握りしめながら、その言葉を聞いて顔をしかめた。


「はい。魔王軍で力を持つ者たちでは、四天王の他にも魔王軍八部衆、魔王軍十二神将がおります」

「い、いっぱいいるーっ!!」


 驚きの叫びを上げるカラクを見て、レフも首を振りながら、言葉を発した。


「あいつらは脳筋や戦闘狂や偏執者が多い。カラクが相手をしてやるような奴らでは……」

「そうじゃ。カラク。これ以上、カラクを取り合いになるのは、妾は嫌なのだ」

「うーん、みんなで気の向くままに旅をしながら考えようか」

「……カラク」

「うん? どうしたの山王」


 山王が躊躇いがちに、呼びかけてきて言い淀んでいる。


「俺は、カラクを強引に連れて行って悪いことをしたと思っとる。すまんかった。堪忍や」

「うん、もう良いよ。砂礫国へ行けて、色々なことがわかって、良かったと思うの」

「……そうか。けど、俺は悪かったんや。ほんまに申し訳なかった。ごめんやで。カラク。……ほんで、手前勝手やとは思うんやけど、これからも、俺も旅の仲間にしてくれへんやろうか?」


 カラクはにこっと笑って、イトラと繋いでいない方の手を差し伸べた。


「いいよー。皆で旅をしよう! いっぱい楽しい事をして、色んな人に会って、美味しいものもいっぱい食べよう! そして、俺はそのうち大きくなるの!!」


 差し出された手を山王は遠慮がちに握った。鋭い視線を送ってはいるものの、他の仲間からの反対の声は上がらない。


「ふふふ……、きっとこれからの旅も楽しくなるの」


 仲間たちもうなずき、みんなで歩き出した。道は光に柔らかに照らされ、きらきらと輝きながらどこまでも続いていた。



【完】







 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

応援いただいた皆さまのおかげで、最後までカラクの旅を書くことができました。

今後の旅は番外編にて不定期更新予定です。


もしよろしければ、ブクマや下にある評価【★★★★★】をしていただければ、とても嬉しく、この上ない励みになります。

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