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第97話 崩れぬ道
朝。
越後。
雨上がり。
街道は泥を含みながらも、崩れてはいなかった。
荷馬が進む。
軋む車輪。
濡れた縄。
馬の白い息。
商人が小さく驚く。
「……通れるな」
去年なら。
ここで止まった。
車輪が沈む。
荷が腐る。
引き返す。
それが普通だった。
だが。
今日は進める。
少し遅い。
少し重い。
それでも進む。
道端では。
兵が石を積んでいた。
村人が木を運ぶ。
誰かが汗を拭う。
戦ではない。
だが。
誰も怠けてはいない。
崩れぬ道。
それだけで。
救われる者がいる。
商人は荷を見た。
塩。
干し魚。
薬。
「……変わったな」
誰へともなく呟いた。
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