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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第90話 春の値段

関東。


市。


声が飛ぶ。


荷が動く。


土の匂い。


獣の匂い。


汗。


商人が眉を寄せていた。


「越後から塩が増えた」


男が言う。


別の商人が腕を組む。


「少し安くなったな」


小さな変化。


だが。


商人は気づく。


物は嘘をつかない。


届く国は強い。


止まらぬ国は強い。


「上杉の魔王」


誰かが鼻で笑う。


「最近は商人泣かせらしい」


小さな笑い。


だが。


冗談では終わらない。


安定は。


力になる。


兵だけではない。


金も。


飯も。


人も。


集まり始める。


遠い越後。


まだ小さい。


だが。


少しずつ。


“住める国”の匂いがし始めていた。


(次話へ)


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