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第68話「遠い九州」
九州。
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遠い国。
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越後から見れば。
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別世界だった。
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「島津がまた戦してるらしい」
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旅人が、酒場で笑う。
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「九州はいつも戦だな」
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「遠すぎて分からん」
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周囲が、少し笑った。
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今の越後にとって。
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九州は遠い。
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だが。
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戦国は、繋がっている。
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その頃。
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越後。
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兼継は、日本地図を見ていた。
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広い。
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本当に。
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広い。
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西。
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南。
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海。
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島。
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まだ見ぬ戦国が、無数にある。
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「……終わらんな」
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ぽつりと呟く。
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だが。
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嫌ではない。
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その時。
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老臣が、静かに笑った。
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「だからこそ、天下は価値があるのでしょう」
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兼継は、少しだけ沈黙する。
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天下。
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まだ遠い。
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武田も。
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織田も。
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北条も。
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まだ生きている。
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だから。
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今は、急がない。
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戦国は。
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まだ。
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広かった。
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