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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第67話「今川」

駿河。


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温かい風。


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海。


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そして。


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今川。


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「尾張が騒がしいな」


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今川義元が、静かに茶を置く。


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織田。


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最近。


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妙に名が広がっている。


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「美濃も押さえたとか」


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家臣が、苦い顔をする。


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義元は、少しだけ笑った。


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「若いな」


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だが。


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その目は、静かだった。


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理解している。


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織田信長。


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あれは。


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普通ではない。


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「武田は」


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「相変わらず上杉と戦っております」


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義元は、少しだけ空を見る。


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怪物が、多い。


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だが。


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戦国は、まだ広い。


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「急ぐ必要はない」


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ぽつりと呟く。


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今川は。


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まだ大国。


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簡単には終わらない。


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その頃。


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尾張。


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信長は、駿河地図を見て笑っていた。


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「今川か」


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ぽつりと呟く。


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まだ。


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届かない。


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だが。


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いつか。


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必ずぶつかる。


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その時を。


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信長は、少し楽しみにしていた。


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(次話へ)


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