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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第61話「北条の城」

関東。


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北条領。


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そこは、静かだった。


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城。


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道。


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関所。


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全部が、整っている。


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「……堅いな」


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越後から来た商人が、思わず呟く。


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戦国。


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だが。


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北条領だけは違う。


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“崩れる気がしない”。


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「北条様は、戦より城だからな」


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関東の男が、笑う。


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「派手じゃねえ」


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「でも死なねえ」


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それが。


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北条。


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その頃。


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北条氏康は、静かに報を読んでいた。


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「上杉、南部小競り合い制圧」


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「武田、治水工事継続」


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「織田、美濃安定化」


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氏康は、少しだけ笑う。


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「全員、ちゃんと国を見始めたか」


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ぽつりと呟く。


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怪物。


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だが。


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最近の三人は違う。


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戦だけではない。


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“国家”を見始めている。


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「……厄介だな」


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だが。


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氏康は、焦らない。


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北条は、耐える国。


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急がない。


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崩れない。


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それが。


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北条の強さだった。


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(次話へ)


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