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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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52/288

第52話「広い戦国」

京。


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尾張。


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越後。


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甲斐。


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それだけが、戦国ではない。


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西。


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海。


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山陰。


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九州。


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四国。


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まだ。


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無数の国がある。


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「最近、上杉だの織田だの騒がしいな」


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酒場。


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旅人たちが、笑う。


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「武田信玄もだ」


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「怪物らしいぞ」


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だが。


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別の男が、鼻で笑った。


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「遠い話だ」


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その一言。


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それが、今の戦国。


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怪物たちは現れ始めた。


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だが。


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まだ。


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全国へは届いていない。


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その頃。


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越後。


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兼継は、静かに地図を見ていた。


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広い。


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戦国は、広い。


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北条。


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朝倉。


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毛利。


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今川。


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六角。


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無数。


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「……終わらんな」


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ぽつりと呟く。


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だが。


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嫌ではなかった。


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戦。


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国。


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人。


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全部が、広がっている。


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その時。


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家臣が、報告を持ってくる。


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「西で、毛利が動いております」


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兼継の目が、少しだけ動く。


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まだ見ぬ怪物。


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戦国は。


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まだ。


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広い。


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遠く。


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尾張。


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信長もまた、地図を見て笑っていた。


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「いいな」


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ぽつりと呟く。


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「まだ全然、終わってねえ」


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その目。


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楽しそうだった。


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怪物たちは。


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まだ。


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戦国の一部でしかない。


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だからこそ。


---


物語は、終わらない。


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(次話へ)


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