第52話「広い戦国」
京。
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尾張。
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越後。
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甲斐。
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それだけが、戦国ではない。
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西。
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海。
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山陰。
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九州。
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四国。
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まだ。
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無数の国がある。
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「最近、上杉だの織田だの騒がしいな」
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酒場。
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旅人たちが、笑う。
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「武田信玄もだ」
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「怪物らしいぞ」
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だが。
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別の男が、鼻で笑った。
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「遠い話だ」
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その一言。
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それが、今の戦国。
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怪物たちは現れ始めた。
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だが。
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まだ。
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全国へは届いていない。
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その頃。
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越後。
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兼継は、静かに地図を見ていた。
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広い。
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戦国は、広い。
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北条。
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朝倉。
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毛利。
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今川。
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六角。
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無数。
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「……終わらんな」
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ぽつりと呟く。
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だが。
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嫌ではなかった。
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戦。
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国。
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人。
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全部が、広がっている。
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その時。
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家臣が、報告を持ってくる。
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「西で、毛利が動いております」
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兼継の目が、少しだけ動く。
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まだ見ぬ怪物。
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戦国は。
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まだ。
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広い。
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遠く。
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尾張。
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信長もまた、地図を見て笑っていた。
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「いいな」
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ぽつりと呟く。
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「まだ全然、終わってねえ」
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その目。
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楽しそうだった。
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怪物たちは。
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まだ。
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戦国の一部でしかない。
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だからこそ。
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物語は、終わらない。
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