表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/288

第49話「死者の数」

川中島の戦は、終わっていなかった。


---


勝者なし。


---


敗者なし。


---


だが。


---


死者だけが、増えていく。


---


---


「……酷い」


---


---


百姓の男が、呟く。


---


---


川沿い。


---


流れてくる。


---


死体。


---


馬。


---


折れた槍。


---


---


戦国だった。


---


---


だが。


---


今回だけは、違う。


---


---


「武田も」


---


「上杉も」


---


「どっちも化物だ……」


---


---


村人たちは、震えていた。


---


---


今までは。


---


“遠い戦”。


---


だった。


---


---


だが。


---


川中島は違う。


---


---


死が、流れてくる。


---


---


その頃。


---


上杉本陣。


---


兼継は、静かに座っていた。


---


---


戦は、続いている。


---


だが。


---


今は、一時停止。


---


---


「死者数は」


---


---


家臣が、低い声で答える。


---


---


「まだ集計途中ですが……」


---


---


そこで。


---


言葉が止まる。


---


---


多い。


---


---


上杉も。


---


武田も。


---


---


兼継は、少しだけ目を閉じた。


---


---


「……そうか」


---


---


短い返答。


---


---


以前なら。


---


数字として処理していた。


---


---


だが。


---


今は違う。


---


---


重い。


---


---


その時。


---


外から、子供の泣き声が聞こえる。


---


---


兼継の目が、少し動いた。


---


---


「……誰だ」


---


---


「戦で父を失った農民の子かと」


---


---


沈黙。


---


---


戦国では、普通。


---


---


だが。


---


兼継は、立ち上がった。


---


---


外へ出る。


---


---


そこには。


---


痩せた母親と。


---


小さな子供。


---


---


兵たちが、困った顔をしている。


---


---


兼継は、静かに二人を見る。


---


---


子供は、泣いていた。


---


---


「父上……」


---


---


その言葉。


---


兼継の胸が、少しだけ痛む。


---


---


理解できない感情だった。


---


---


「……食事を出せ」


---


---


周囲が、静まる。


---


---


兼継が。


---


自分から民へ指示を出した。


---


---


「兼継様?」


---


---


兼継は、静かに答える。


---


---


「戦で死ぬのは兵だけでいい」


---


---


その言葉。


---


老臣たちの目が、少しだけ変わった。


---


---


その頃。


---


武田本陣。


---


信玄は、酒を飲んでいた。


---


---


「負けてねえな」


---


---


笑う。


---


---


家臣たちは、疲れ切っている。


---


---


当然だった。


---


死人が、多すぎる。


---


---


「信玄様」


---


---


家臣が、慎重に問う。


---


---


「次は、どうされますか」


---


---


信玄は、少しだけ黙る。


---


---


そして。


---


笑った。


---


---


「まず食わせろ」


---


---


即答。


---


---


「兵が腹減ってる」


---


---


家臣たちが、少しだけ笑う。


---


---


これが。


---


武田信玄。


---


---


戦を知る男。


---


だが。


---


同時に。


---


“人間”を知る男。


---


---


遠く。


---


尾張。


---


信長は、川中島の報告を聞いていた。


---


---


「決着なしか」


---


---


酒を回す。


---


---


「いいな」


---


---


ぽつりと呟く。


---


---


「まだ終わらねえ」


---


---


その目。


---


少しだけ嬉しそうだった。


---


---


戦国は、まだ広い。


---


---


怪物たちは。


---


まだ。


---


全国へ届いていない。


---


---


だからこそ。


---


面白い。


---


(次話へ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ