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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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48/288

第48話「魔王と軍神」

雪は、もう無かった。


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あるのは。


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血。


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火。


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死。


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川中島。


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そこは。


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完全に地獄になっていた。


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上杉軍。


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武田軍。


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両軍とも、限界。


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だが。


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止まらない。


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理由は、一つ。


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上杉兼継。


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武田信玄。


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二人が、まだ戦っている。


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「っ!!」


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槍。


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短刀。


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轟音。


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周囲の兵が、吹き飛ぶ。


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別格。


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「……怪物」


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誰かが、呟く。


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もう。


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人ではない。


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その時。


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信玄が、笑った。


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「上杉兼継!!」


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「天下、欲しくねえのか!!」


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戦場に、響く。


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兼継が、一瞬だけ止まる。


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天下。


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その言葉。


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今まで。


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考えたことはなかった。


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だが。


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信長。


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京。


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戦国。


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全部を見た今。


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少しだけ。


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胸が、熱くなる。


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「……欲しいな」


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ぽつりと呟く。


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その瞬間。


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信玄が、笑った。


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「そうだろ!!」


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槍を、振り抜く。


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「じゃあ来い!!」


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轟音。


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兼継も、踏み込む。


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短刀。


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最速。


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魔王。


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軍神。


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二人の怪物が。


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天下を見始めた。


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その瞬間。


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戦国は。


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完全に、終わりのない時代へ突入した。


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(次話へ)


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