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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第47話「甲斐の虎」

「退くなァァ!!」


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武田信玄の咆哮。


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それだけで。


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崩れかけた武田軍が、立ち直る。


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「信玄様!!」


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武田兵たちが、再び前へ出る。


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死ぬ。


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分かっている。


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だが。


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行く。


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信玄がいるから。


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兼継は、それを見ていた。


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静かに。


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そして。


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少しだけ。


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羨ましそうに。


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「……強いな」


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ぽつりと呟く。


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武田軍は。


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武田信玄そのもの。


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だから。


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折れない。


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その瞬間。


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信玄が、突っ込む。


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槍。


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轟音。


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兼継が、受ける。


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地面が、砕けた。


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「ははっ!!」


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信玄が、笑う。


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「上杉兼継!!」


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槍を振る。


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「お前、本当に最高だな!!」


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狂気。


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だが。


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兼継は、少しだけ笑った。


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「お前もだ」


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その瞬間。


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武田軍。


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上杉軍。


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両方が、凍る。


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魔王が。


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敵を認めた。


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そして。


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信玄もまた、笑う。


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「だろうなァ!!」


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次の瞬間。


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さらに激突。


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轟音。


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川中島が、壊れていく。


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(次話へ)


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