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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第46話「車懸り」

上杉軍が、動いた。


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静かに。


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だが。


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異常な速度で。


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「来ます!!」


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武田側が、叫ぶ。


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霧の中。


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白い波。


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上杉兵。


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だが。


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普通ではない。


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前列が下がる。


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次が出る。


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また下がる。


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また次。


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止まらない。


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「……車懸りか」


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信玄が、笑う。


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上杉伝統。


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連続回転攻撃。


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だが。


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兼継の車懸りは、異常だった。


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火輪銃。


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槍。


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騎馬。


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全部が、噛み合っている。


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「崩れる!!」


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武田前線が、押され始める。


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だが。


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信玄は、笑っていた。


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「だからいい!!」


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槍を掲げる。


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「騎馬隊、前へ!!」


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武田騎馬隊が、真正面から突っ込む。


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轟音。


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上杉車懸りと。


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武田騎馬隊。


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真正面衝突。


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地獄。


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馬が飛ぶ。


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兵が潰れる。


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血が霧に混ざる。


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その中心。


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兼継と信玄だけが、笑っていた。


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「いいな!!」


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信玄が、笑う。


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兼継は、何も言わない。


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だが。


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その目。


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完全に。


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熱を帯びていた。


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川中島。


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戦国最悪の戦が。


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さらに深く、壊れ始めていた。


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(次話へ)


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