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第335話 終端の気配
京の朝は、いつもと変わらず始まっている。
しかしその「いつも」は、長い時間をかけて作られたものだ。
市場が開き、人が流れ、声が重なる。
そのすべてが、ひとつの秩序の中にある。
上杉の統治網は完成している。
だがそれは完成して終わるものではない。
維持され続ける構造だ。
織田も武田も北条も、その一部として機能している。
かつての敵という概念は、すでに意味を持たない。
ただ配置された役割だけが残っている。
兼継は静かに歩く。
終わりは見えない。
しかし終わりは近い。
その矛盾の中で、世界は均衡している。




