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第336話 征夷大将軍
京の内裏は静まり返っている。
その中心に、上杉兼継は立っている。
四十五歳。
長い年月の積み重ねが、この瞬間に収束している。
戦ではない。
勝利でもない。
ただ確認だ。
朝廷からの宣旨が静かに読み上げられる。
征夷大将軍。
その言葉に力はない。
だが意味は重い。
それは支配の証明ではない。
構造の確認だ。
全国の大名たちはそこにいる。
織田も武田も北条も島津も毛利も。
誰も欠けていない。
誰も争わない。
ただその場に存在している。
兼継は一度だけ目を閉じる。
そして開く。
世界は変わっていない。
ただ固定された。
戦国はここで終わる。
終わりとは消滅ではない。
維持の完成だ。




