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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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225/288

第225話「弥助、来客」

橋番の小屋に、見知らぬ旅人が入ってきた。


三十代、商人の格好をした男だった。膝まで雪をかぶっていた。


「少し暖を取らせてもらえますか」


弥助は黙って場所を空けた。


男は炉の前に座って、手をかざした。しばらく黙ってから言った。「越後の橋は立派ですな」


弥助は頷いた。


「いつ頃できたんですか」


「二年ほど前か」


「誰が」


「殿が」


男は少し考えるような顔をした。「お若いと聞きましたが」


「十三だよ」


男は何も言わなかった。炉を見ていた。しばらくして礼を言って出ていった。


弥助はその背中を見た。


商人の格好をしているが、腰の刀が抜かれた様子がない。刀を持ち歩く商人は珍しい。どこかの斥候かもしれない。


弥助は炉に枝をくべた。どこからでも来ればいい、と思った。橋は誰でも渡れる。渡った者が何を見て何を感じて帰っていくか、それは弥助の仕事ではなかった。

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