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第225話「弥助、来客」
橋番の小屋に、見知らぬ旅人が入ってきた。
三十代、商人の格好をした男だった。膝まで雪をかぶっていた。
「少し暖を取らせてもらえますか」
弥助は黙って場所を空けた。
男は炉の前に座って、手をかざした。しばらく黙ってから言った。「越後の橋は立派ですな」
弥助は頷いた。
「いつ頃できたんですか」
「二年ほど前か」
「誰が」
「殿が」
男は少し考えるような顔をした。「お若いと聞きましたが」
「十三だよ」
男は何も言わなかった。炉を見ていた。しばらくして礼を言って出ていった。
弥助はその背中を見た。
商人の格好をしているが、腰の刀が抜かれた様子がない。刀を持ち歩く商人は珍しい。どこかの斥候かもしれない。
弥助は炉に枝をくべた。どこからでも来ればいい、と思った。橋は誰でも渡れる。渡った者が何を見て何を感じて帰っていくか、それは弥助の仕事ではなかった。




