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第221話「橋市の冬」
雪が降った。
橋市は縮んだが、消えなかった。
移転した蔵の中に商人が六人残り、米、塩、薪、布の商いを続けた。客は少ない。だが来る者には、確かに必要なものを売った。
毎朝、橋の雪を払う者がいた。命じられたわけではない。橋のそばに住む大工が、自分で始めたことだった。道具を持ってきて、黙って雪をどかして、戻っていく。
弥助老人は橋番の小屋から、その姿を毎朝見ていた。
橋が自分のものになっている、と弥助は思った。殿が作ったものが、いつの間にか、みんなのものになる。その境目がどこにあったのか、見ていたはずなのに、わからなかった。気づいた時には、もうそうなっていた。
川は凍っていなかった。黒く動いている。
橋の向こうで、煙が上がっていた。誰かが朝飯を作っている。それだけのことが、冬の越後には温かく見えた。




