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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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221/288

第221話「橋市の冬」

雪が降った。


橋市は縮んだが、消えなかった。


移転した蔵の中に商人が六人残り、米、塩、薪、布の商いを続けた。客は少ない。だが来る者には、確かに必要なものを売った。


毎朝、橋の雪を払う者がいた。命じられたわけではない。橋のそばに住む大工が、自分で始めたことだった。道具を持ってきて、黙って雪をどかして、戻っていく。


弥助老人は橋番の小屋から、その姿を毎朝見ていた。


橋が自分のものになっている、と弥助は思った。殿が作ったものが、いつの間にか、みんなのものになる。その境目がどこにあったのか、見ていたはずなのに、わからなかった。気づいた時には、もうそうなっていた。


川は凍っていなかった。黒く動いている。


橋の向こうで、煙が上がっていた。誰かが朝飯を作っている。それだけのことが、冬の越後には温かく見えた。

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