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第219話「冬支度の指示」
越後の冬は長い。
雪が積めば道が消える。橋が凍る。市が縮む。春まで身を縮めて耐えるのが、これまでの越後の民の習慣だった。
兼継が家臣を集めたのは、初雪の三日前だった。
「橋の点検を週二回に増やす。市の一部を屋根のある蔵に移す。薪の配給経路を今のうちに確認する」
家臣が一人言った。「例年はここまでやっておりません」
「例年と今年は違います。今年は市に頼って生活している者が増えた。市が止まれば、その者たちの暮らしが止まる」
家臣は黙った。
廊下に出てから、一人が別の者に言った。「殿は、民の暮らしの動きを見ておられる」
「当たり前では」
「当たり前にできる者が、どれだけいるか」
二人は廊下を歩いた。外では風が強くなっていた。冬が近かった。兼継の指示はすでに、城下へ向かっていた。




