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第215話「兼継、初めて疲れを見せる」
珍しいことがあった。
兼継が、昼間に縁側で眠っていた。
家臣が気づいた時、十三歳の当主は柱に寄りかかって、静かに目を閉じていた。書きかけの紙が膝の上にあった。
家臣は声をかけなかった。
別の家臣に目配せして、その場を離れた。
二刻後、兼継は自分で目を覚ました。
膝の上の紙を見て、少し考えてから、また書き始めた。眠っていたことを気にした様子はなかった。
だが家臣は見ていた。
あの寝顔は、十三歳の子どもの顔だった。
普段は見えない。いつも何かを考えている。何かを設計している。感情より先に思考が動いている。
だが眠っている時だけ、ただの子どもだった。
夕方、その家臣は妻に話した。
「殿は、無理をしておられる」
妻は少し黙ってから言った。
「でも、止めないでしょう」
家臣は頷いた。
「止める言葉が見つからない」
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