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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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214/288

第214話「毛利の船」

瀬戸内。

毛利の船が、越後の湊に入ったのはこの頃だった。

表向きは交易だった。実際に交易もした。だが船頭の一人、三十八歳は、湊の様子をよく見ていた。

船の数が増えていた。

以前来た時より、明らかに多い。しかも、荷の種類が変わっていた。以前は米と塩が中心だった。今は木材、鉄、布、薬草、さまざまな荷が入り乱れている。

経済が広がっている、と船頭は思った。

湊の者に酒を奢り、話を聞いた。

「最近、橋ができましてね」と男は言った。「あれから内陸との行き来が増えて、湊まで物が降りてくるようになった」

橋。

船頭は越後の内陸に橋があることは知らなかった。

「殿がお作りになったんですか」

「ええ、まだお若いんですがね」

船頭は毛利への報告書に書き足した。

越後、経済拡大中。陸路と水路が繋がりつつある。

小さな一行だった。

だが毛利の首脳が、それを読む日が来る。

(次話へ)

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