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第213話「信長、動く」
尾張。
織田信長、二十歳。
城下の視察から戻ったばかりだった。汗を拭いながら、家臣の報告を聞く。
越後の件、続報あり。学問小屋が城下に定着しつつある。子どもだけでなく、成人も通い始めているという。
信長は黙って聞いた。
「成人も、か」
「はい。主に商人と職人とのことです」
信長は少し笑った。
笑い方が、家臣には少し怖かった。
「賢い」
短い一言だった。
子どもに教えるより、すでに動いている大人に教える方が、効果が早い。商人が計算を覚えれば市が効率化する。職人が設計図を読めれば、より複雑な物が作れる。
越後の子どもは、そこまで考えているのか。
それとも、自然にそうなったのか。
どちらにしても、結果は同じだ。
信長は立った。
「俺も城下を変える」
家臣が顔を上げる。
「何から始めますか」
信長は少し考えた。
「市だ。まず市を変える」
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