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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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209/288

第209話「甲斐からの返書」

武田からの返書が届いたのは、氏康が書状を出してから十日後だった。

短い文だった。

「越後の件、こちらも注視している。橋と市と学問。順番に意味がある。あの子どもは、何かを設計している」

氏康は二度読んだ。

信玄も同じ見方をしていた。

ただ、最後の一行が引っかかった。

「しかし、設計する者は必ず、設計の外に出られなくなる」

氏康は窓の外を見た。

設計の外に出られなくなる。

どういう意味か。

しばらく考えて、わかった気がした。

自分で作った構造に、自分が縛られる。橋を作れば橋を守らなければならない。市を作れば市を維持しなければならない。学問を広げれば、学んだ者の期待に応えなければならない。

積み上げるほど、守るものが増える。

それは強さか。それとも弱点か。

氏康は返書を折り畳んだ。

越後の子どもが何を設計しているのか、まだわからない。

だが、その設計が完成した時。

戦国の地図は、今とは違う形になっているかもしれない。

(次話へ)

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