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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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208/288

第208話「兼継、玄斎から学ぶ」

それから玄斎は、週に二度、城に来るようになった。

兼継が聞き、玄斎が答える。それだけの時間だったが、家臣たちはその時間を邪魔しなかった。何かが起きている、と感じていたからだ。

ある日、兼継が聞いた。

「かつての朝廷は、なぜ壊れたのですか」

玄斎は少し間を置いた。

「壊れてはいません」

兼継が顔を上げる。

「形は残っています。ただ、中身が変わった。記録は残った。儀礼も残った。だが、それを動かす人間が変わった。制度は残っても、制度を信じる者がいなくなった時、国は機能を失う」

「信じる、というのは」

「制度が公平だと思えるかどうかです。得をする者だけが信じる制度は、損をする者が増えた瞬間に崩れる」

兼継は黙って聞いていた。

玄斎は続けた。

「上杉の決まりを、民が守っているのは、なぜだと思いますか」

兼継はしばらく考えた。

「守った方が、得だからだと思います」

玄斎は微笑んだ。

「それが答えです」

(次話へ)

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