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第208話「兼継、玄斎から学ぶ」
それから玄斎は、週に二度、城に来るようになった。
兼継が聞き、玄斎が答える。それだけの時間だったが、家臣たちはその時間を邪魔しなかった。何かが起きている、と感じていたからだ。
ある日、兼継が聞いた。
「かつての朝廷は、なぜ壊れたのですか」
玄斎は少し間を置いた。
「壊れてはいません」
兼継が顔を上げる。
「形は残っています。ただ、中身が変わった。記録は残った。儀礼も残った。だが、それを動かす人間が変わった。制度は残っても、制度を信じる者がいなくなった時、国は機能を失う」
「信じる、というのは」
「制度が公平だと思えるかどうかです。得をする者だけが信じる制度は、損をする者が増えた瞬間に崩れる」
兼継は黙って聞いていた。
玄斎は続けた。
「上杉の決まりを、民が守っているのは、なぜだと思いますか」
兼継はしばらく考えた。
「守った方が、得だからだと思います」
玄斎は微笑んだ。
「それが答えです」
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