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第194話「兼継、問いを持つ」
夜。
越後。
城。
灯が一つ。
兼継。
十三歳。
報告書から目を離さない。
識字。
読み書き。
算盤。
今の越後。
町人も農民も。
ほとんど読めない。
書けない。
だから。
兼継の政は。
すべて口伝えになる。
誤りが生まれる。
伝わらない。
薄まる。
家臣。
五十二歳。
控えている。
兼継は静かに言った。
「民が読めたら何が変わる」
短い問い。
家臣は少し考えた。
「……普及が早くなります」
「命令が正確に届きます」
兼継は頷く。
だが。
それだけではない気がした。
読める者は考える。
考える者は問う。
問う者は育つ。
育った者が。
次の越後を作る。
灯が揺れた。
十三歳の少年の頭の中で。
何かが静かに動き始めた。
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