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第193話「学問の芽」
朝。
越後。
城下の一角。
小屋。
粗末だが。
掃き清められている。
老人。
六十三歳。
かつて京にいた。
学者だった。
戦で流れ流れて。
越後に辿り着いた。
子どもが三人来ていた。
十歳。
八歳。
七歳。
農家の子たちだった。
老人は竹筒で文字を地面に書く。
「読めるか」
子どもたちは首を振る。
老人は少し間を置いた。
そして。
また書く。
「これが山だ」
短い声。
子どもが目を丸くする。
山。
知っている山。
文字になった山。
夕方。
兼継の家臣が通りかかった。
小屋を見た。
子どもたちの声を聞いた。
足を止めた。
夜。
報告書に一行書く。
識字教育。
城下に自然発生。
兼継はその一行を。
しばらく見ていた。
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