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第192話 橋の向こうの未来
夕方。
橋市。
橋のたもと。
老人。
六十七歳。
山村から来ていた。
隣には孫。
七歳。
今日も荷を売りに来た。
市は賑わっている。
飯屋。
宿。
桶屋。
布屋。
鍛冶屋。
少し前には無かった物ばかりだった。
孫が橋を見る。
そして聞く。
「じいちゃん」
「この町、もっと大きくなる?」
老人は少し考えた。
夕日が橋を赤く染めている。
川面が揺れる。
人が笑う。
荷馬が進む。
そして。
ゆっくり頷いた。
「なるだろうな」
短い声。
孫は嬉しそうに笑う。
老人は橋を見る。
去年は生きる事だけを考えていた。
今は違う。
来年を考える。
十年後を考える。
未来を考える。
それが出来る。
橋の向こう。
まだ小さな町。
だが。
老人には見える気がした。
もっと多くの灯。
もっと多くの人。
もっと大きな越後。
夕日が沈む。
橋市の夜が始まる。
その灯は。
去年よりずっと明るかった。
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