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第188話 灯の向こう
夜。
橋市。
灯が並んでいた。
飯屋。
宿。
布屋。
鍛冶屋。
以前より灯が増えている。
橋番の弥助。
六十一歳。
橋の端に座る。
今日も橋を見る。
荷を見る。
人を見る。
子どもが走る。
旅人が笑う。
商人が酒を飲む。
穏やかな夜だった。
弥助は川を見る。
流れは変わらない。
橋が無かった頃も。
橋が出来た今も。
同じように流れている。
変わったのは人だった。
暮らしだった。
灯だった。
弥助は遠くを見る。
橋の向こう。
まだ暗い村がある。
これから先。
そこにも灯が増えるかもしれない。
そう思った。
去年なら考えなかった。
だが。
今は思える。
橋は人を運ぶ。
人は暮らしを運ぶ。
そして暮らしは。
また新しい灯を生む。
川面に灯が映る。
橋市の夜は静かだった。
だが。
その静けさの中で。
越後は確かに大きくなっていた。
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