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第186話 兼継十三歳、豪族と会う
昼。
越後。
城。
兼継。
十三歳。
珍しく客が来ていた。
近隣豪族。
五十五歳。
長く土地を治めてきた男だった。
部屋には静かな空気。
豪族が言う。
「橋市が栄えておりますな」
兼継は頷く。
短い沈黙。
やがて。
豪族が続けた。
「人も流れております」
穏やかな言葉。
だが。
意味は分かる。
橋市へ人が集まる。
その分。
周辺の村から人が減る。
豪族は不満ではない。
不安なのだ。
兼継は茶を置く。
そして言った。
「橋市だけは育てない」
豪族が顔を上げる。
兼継は地図を広げる。
橋市。
村。
街道。
全部が書かれていた。
「橋市は入口だ」
短い声。
「越後全体を育てる」
豪族は地図を見る。
長い沈黙。
やがて。
ゆっくり頷いた。
兼継は十三歳。
だが。
見ている範囲は橋市だけではなかった。
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