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第185話 越後へ来る者
朝。
橋市。
夏の気配が少しずつ近づいていた。
街道。
橋。
市。
人の流れは止まらない。
役所。
庄蔵。
四十二歳。
今日も帳面を開いていた。
名前。
年齢。
出身地。
橋市へ住む者たちを記していく。
二十歳の鍛冶見習い。
三十四歳の大工。
二十七歳の商人。
夫婦。
親子。
様々だった。
庄蔵は筆を止める。
以前は。
越後へ来る者は少なかった。
寒い。
遠い。
貧しい。
そんな土地だった。
だが。
今は違う。
橋がある。
市がある。
仕事がある。
人が集まり始めていた。
役所の窓から外を見る。
荷馬が通る。
子どもが走る。
店が開く。
橋市は。
越後へ人を呼ぶ入口になり始めていた。
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