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第169話 最初の揉め事
朝。
橋市。
井戸の前。
人が集まっていた。
怒鳴り声。
人垣。
桶が転がっている。
橋番の弥助。
六十一歳。
眉をひそめた。
近づく。
商人が二人。
向かい合っていた。
布商。
三十八歳。
塩商。
四十二歳。
顔を真っ赤にしている。
「俺が先だった!」
「違う!」
井戸は出来た。
人も増えた。
だが。
人が増えれば揉め事も増える。
若い兵。
十九歳。
慌てて止めに入る。
弥助は大きく息を吐いた。
橋を作れば終わり。
そうではない。
市が出来る。
井戸が出来る。
人が集まる。
そして問題も集まる。
弥助は二人を見る。
「順番決めろ」
短い声。
商人たちが黙る。
周囲も静かになる。
小さな揉め事。
だが。
橋市にとっては最初の試練だった。
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