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第168話 橋市の子ども
夕方。
橋市。
井戸の周り。
子どもたちが遊んでいた。
追いかける。
転ぶ。
笑う。
橋市で生まれた子ではない。
だが。
橋市で遊ぶ子どもだった。
老人。
六十七歳。
山村から来ていた。
荷を売りに来たのだ。
隣には孫。
七歳。
井戸の周りを走っている。
老人は周囲を見る。
店。
人。
灯。
笑い声。
少し前まで無かった景色だった。
荷が届く。
橋が出来る。
市が出来る。
井戸が出来る。
そして。
子どもが遊ぶ。
それが一番大きかった。
老人は孫を見る。
元気に笑っていた。
去年なら。
そんな余裕は無かった。
生きるだけで精一杯だった。
今は違う。
未来を考えられる。
老人は空を見る。
夕日が橋を照らしていた。
そして。
小さく呟く。
「良い国になりそうだ」
誰も聞いていない。
だが。
その言葉は。
橋市の賑わいの中へ静かに溶けていった。
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