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第167話 氏康三十七歳、町を見る
小田原。
昼。
北条氏康。
三十七歳。
城下町を歩いていた。
市場。
職人町。
商人。
旅人。
賑わう道。
氏康は足を止める。
井戸の周り。
人が集まっている。
水を汲む者。
話す者。
商売する者。
町の中心だった。
家臣が後ろから言う。
「越後も井戸が出来たそうです」
氏康は少し笑う。
最近は何でも越後だった。
橋。
市。
井戸。
どれも小さい。
だが。
繋がっている。
氏康は井戸を見る。
そして。
ぽつりと言った。
「町になるな」
家臣は黙った。
橋市。
まだ小さい。
だが。
十年後。
どうなっているか分からない。
それが。
少し面白くもあり。
少し厄介でもあった。
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