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第163話 氏康三十七歳、気付く
小田原。
夜。
北条氏康。
三十七歳。
静かな部屋。
灯が揺れる。
紙が置かれる。
越後。
橋周辺。
市形成。
井戸建設開始。
氏康は報を読む。
そして。
しばらく黙った。
家臣が聞く。
「何か」
氏康は紙を置く。
乾いた音。
「町を作っている」
短い声。
家臣は首を傾げる。
橋。
市。
井戸。
どれも小さい。
どれも地味だ。
だが。
氏康には見えていた。
橋だけではない。
町を作っている。
人を残そうとしている。
それが厄介だった。
戦場なら。
勝てば終わる。
だが。
町は違う。
十年。
二十年。
積み重なる。
氏康は窓を見る。
遠い北。
越後。
最近。
報を読むたびに大きくなっている気がした。
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