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第160話 村の未来
山村。
夕方。
畑。
春の風。
芽は増えていた。
老人。
六十七歳。
若者。
二十一歳。
子ども。
七歳。
三人で畑を見ている。
小さな緑。
まだ頼りない。
だが。
確実に増えている。
若者が言う。
「秋、どうなりますかね」
老人は少し考える。
空を見る。
昔なら。
そんな話はしなかった。
明日の飯。
明日の寒さ。
それだけだった。
今は違う。
秋を考える。
来年を考える。
未来を考える。
老人は芽を見る。
そして。
ゆっくり言った。
「分からん」
若者が笑う。
老人も少し笑った。
「だが、楽しみだな」
その言葉に。
若者も頷く。
子どもは意味が分からない。
それでも笑った。
春風が吹く。
畑が揺れる。
村人たちは知らない。
遠い城で。
十三歳の少年が地図を見ている事を。
だが。
その地図の先に。
確かにこの村も含まれていた。
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