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第159話 氏康三十七歳、町を見る
小田原。
昼。
北条氏康。
三十七歳。
城下を歩いていた。
市場。
店。
職人。
荷馬。
人の声。
賑わい。
当たり前の光景。
だが。
氏康は足を止める。
井戸の周り。
人が集まっている。
水を汲む。
話をする。
物を売る。
町とは。
こうして出来る。
家臣が言う。
「何かありましたか」
氏康は首を横に振る。
「いや」
短い声。
だが。
頭の中には越後があった。
橋。
人。
荷。
そして町。
今は小さい。
だが。
流れは同じだった。
氏康は空を見る。
春の空。
遠い北。
あの十三歳の少年は。
今頃何を見ているのか。
少しだけ興味があった。
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