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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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157/288

第157話 橋の日常

朝。


越後。


橋。


完成してから日が経った。


最初は。


皆が橋を見ていた。


渡るたびに。


壊れないか確かめていた。


だが。


最近は違う。


当たり前になり始めていた。


商人が渡る。


農民が渡る。


旅人が渡る。


橋番の弥助。


六十一歳。


橋の端に座る。


木を叩く。


縄を見る。


異常なし。


いつもの朝だった。


若い兵が言う。


「最近、誰も橋を見ませんな」


弥助は少し笑う。


「良い橋だからだ」


短い言葉。


兵は首を傾げる。


弥助は橋を見る。


本当に良い物は。


当たり前になる。


毎日使う。


誰も気にしない。


それで良い。


橋は目立たなくて良い。


人を運べば良い。


川の上を。


今日も荷馬が進んでいた。


(次話へ)


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