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第153話 橋の町
朝。
越後。
橋のたもと。
少し前までは何もなかった場所だった。
川。
土。
草。
それだけ。
だが。
今は違う。
荷馬が止まる。
商人が休む。
水を飲む。
飯を食う。
人が集まる。
自然と。
小さな店も出来始めていた。
団子を売る老婆。
藁細工を並べる男。
桶を修理する職人。
立派な町ではない。
市場とも呼べない。
それでも。
人が増えれば暮らしが生まれる。
橋番の弥助。
六十一歳。
橋の横から眺めていた。
若い頃。
戦場で城が出来るのは見た。
だが。
橋から町が生まれるのを見るのは初めてだった。
荷馬が止まる。
商人が笑う。
子どもが走る。
弥助は小さく鼻を鳴らした。
「橋は人を運ぶな」
誰に聞かせるでもない。
独り言だった。
だが。
その言葉の通りだった。
橋の周囲は。
少しずつ賑やかになっていた。
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