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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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152/288

第152話 春の畑

山村。


夕方。


畑。


去年まで空き地だった場所。


今は人がいる。


老人。


六十七歳。


若者。


二十一歳。


子ども。


七歳。


皆で土を掘っていた。


荷で届いた種。


小さな袋。


だが。


村にとっては宝だった。


老人が種を落とす。


若者が土を被せる。


子どもが真似をする。


女たちが笑う。


春の風が吹いた。


去年は。


春が来るか分からなかった。


今は違う。


種を蒔く。


秋を考える。


来年を考える。


それが出来る。


老人は腰を伸ばした。


遠く。


橋の方を見る。


見えない。


だが。


確かにある。


橋があり。


荷が来て。


種が来た。


そして今。


畑が出来ている。


老人は小さく頷いた。


「良い春だ」


空はまだ高い。


越後の春は。


静かに広がっていた。


(次話へ)


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