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第147話 氏康三十七歳
小田原。
夜。
北条氏康。
三十七歳。
庭を歩いていた。
春の夜風。
遠くで虫が鳴く。
若い頃より。
見る物が変わった。
昔は戦場を見た。
今は国を見る。
家臣が報を持ってくる。
越後。
また越後だった。
橋番設置。
荷増加。
村安定。
地味な報。
だが。
氏康は紙を閉じない。
静かに読む。
「十三か」
ぽつり。
兼継の年齢だった。
若い。
あまりにも若い。
だが。
やっている事は老練だった。
氏康は空を見る。
十三歳。
普通なら。
まだ大人の後ろを歩く年だ。
それが。
橋を守り。
村を守り。
国を積んでいる。
「厄介だな」
小さな声。
夜風だけが返事をした。
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