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第145話 兼継十三歳
朝。
越後。
春の風が吹いていた。
橋の周囲には、人が集まっている。
商人。
農民。
兵。
橋が出来たことで。
以前より人の流れが増えていた。
橋の端に立つ兼継は十三歳になっていた。
背は少し伸びた。
だが。
顔には、まだ幼さが残る。
それでも。
周囲の者は誰も子どもとは思わない。
兼継は橋脚を見る。
昨日より傷が増えていた。
車輪の跡。
木の擦れ。
泥。
橋は使われている。
だから傷む。
それを見て兼継は言った。
「橋番を置け」
短い声。
家臣が顔を上げる。
「橋番でございますか」
兼継は頷く。
「壊れてからでは遅い」
それだけ。
だが。
橋が完成したことで。
新しい仕事が生まれた。
若い兵たちは橋を見た。
作る時代から。
守る時代へ。
少しずつ変わり始めていた。
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