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第143話 届いた文
夜。
越後。
城。
灯が揺れる。
兼継の前には帳面。
紙。
墨。
いつもの夜だった。
家臣が文を持ってくる。
山村からだった。
字は荒い。
急いで書いたのだろう。
兼継が開く。
内容は短い。
“薬、届く”
“病人、助かる”
それだけ。
たったそれだけだった。
だが。
兼継は文を閉じない。
しばらく見ていた。
戦なら。
勝てば名が残る。
城を落とせば語られる。
だが。
助かった者の名は残らない。
それでも。
助かった。
それで十分だった。
灯が揺れる。
外では風。
兼継は文を畳む。
そして。
また帳面を開いた。
国は。
まだ途中だった。
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