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第141話 橋の朝
朝。
越後。
橋。
朝日が濡れた木を照らしていた。
川面が光る。
風はまだ冷たい。
だが。
冬の刃のような寒さではない。
橋の上を荷馬が進む。
軋む車輪。
揺れる荷。
馬の吐く息。
橋番の兵が木材を確かめる。
手で触る。
目で見る。
耳を澄ます。
橋は完成した。
だが。
守らねば意味がない。
兼継が歩く。
橋の中央。
下には強い流れ。
少し前まで。
向こう岸は遠かった。
今は違う。
人が行き来する。
荷が流れる。
暮らしが動く。
若い兵が言う。
「橋って地味ですな」
隣の老人が笑う。
「だから良い」
短い言葉。
兼継は何も言わない。
ただ橋を見る。
地味な物ほど。
長く残る。
そんな気がしていた。
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