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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第134話 帳面の重さ

夜。


越後。


城。


灯が揺れる。


兼継は帳面を見ていた。


橋完成。


荷到着。


病減少。


村安定。


紙には短い文字しかない。


だが。


その一つ一つに人がいる。


家臣が文を置く。


「川向こうの村より」


兼継が開く。


字は荒い。


急いで書いたのだろう。


内容は短い。


“荷、届く”


それだけ。


兼継は少しだけ目を閉じた。


城から見れば小事。


戦場から見れば話にもならぬ。


だが。


村から見れば違う。


薬が届く。


塩が届く。


冬が少し遠くなる。


帳面は重い。


紙の重さではない。


そこに書かれた暮らしの重さだった。


灯が揺れる。


兼継はまた筆を取る。


まだ終わらない。


国は。


明日も続く。


(次話へ)


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