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第133話 川向こうの村
朝。
越後。
橋を渡った先。
これまで荷が届きにくかった村がある。
春の風。
まだ冷たい。
田は黒く湿り。
雪の名残が山陰に残っていた。
村の入り口で。
老人が荷馬を見ていた。
車輪。
馬。
荷。
当たり前の光景。
だが。
この村では当たり前ではなかった。
「本当に来たな」
老人が呟く。
隣の若者も頷く。
荷が降ろされる。
塩。
薬。
布。
少しの鉄。
豪華ではない。
豊かでもない。
だが。
届いた。
それが大きかった。
女たちが荷を見る。
子どもが布を触る。
誰も騒がない。
戦国の民は慎重だ。
期待しすぎると痛い目を見る。
それを知っている。
それでも。
今日は少しだけ顔が柔らかかった。
橋の向こう。
遠い城。
見たこともない武将。
だが。
その誰かが積んだ物が。
今、ここへ届いていた。
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