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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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130/288

第130話 商人たちの勘定

関東。


市。


昼。


荷車が行き交う。


商人たちの声。


干し魚の匂い。


土埃。


酒。


いつもの賑わい。


だが。


最近は話題が一つ増えていた。


越後。


誰かが算盤を弾く。


乾いた音。


「薬が安定してきた」


「塩もだ」


「まだ少ねえがな」


商人たちは数字を見る。


数字は嘘をつかない。


武勇は盛れる。


噂も変わる。


だが。


値段は正直だった。


老人商人が腕を組む。


「橋一本でここまで変わるか」


別の男が首を振る。


「橋だけじゃねえ」


倉。


道。


荷。


全部だ。


少しずつ。


何年もかけて積んでいる。


誰かが酒を飲む。


「上杉の魔王」


小さな笑い。


そして。


誰かが言った。


「最近、魔王って感じしねえな」


沈黙。


老人が答える。


「だから怖えんだよ」


市の喧騒は続く。


だが。


越後という名は。


少しずつ重みを増していた。


(次話へ)


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