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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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126/288

第126話 増えた声

関東。


宿場町。


昼。


囲炉裏。


茶。


濡れた草履。


旅人たちの声。


最近。


越後の話が増えていた。


戦ではない。


橋。


道。


荷。


倉。


暮らしの話ばかり。


商人が湯呑を回す。


「橋、通ったぞ」


誰かが顔を上げる。


「本当か」


「薬届いてた」


「塩も少し増えてる」


沈黙。


やがて。


老人商人が言う。


「静かに強くなる国は怖え」


短い言葉。


皆が黙る。


刀なら折れる。


戦なら終わる。


だが。


暮らしは積もる。


飯がある。


病が減る。


逃げなくていい。


それは。


人を残す。


窓の外。


荷車が通る。


誰かが、ぽつりと呟いた。


「……上杉の魔王、思ったより厄介だな」


笑いは起きなかった。


(次話へ)


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